前月号より続く
FICC台湾世界大会の思い出(後編)
記:KANAKO
この続きをやりたい!
連日の日帰りバスツアーは有料で、現地の旅行業者が催行していた。ガイドは英語を話す台湾女性。日本語はほぼ出来ない。よって頭をフル回転させれば聞き取れる内容もあるが、その努力を怠れば、すぐに認知症の老人並み。11:15の集合時間を11:50と聞き間違えた日本人老人4人組を笑顔で許してくれた皆さんに感謝。同乗したイタリアの一般老人ピーポーも英語は苦手の様子だったが、バスの前方に陣取って、スマホの翻訳ソフトに再度話せとガイドをこき使っていた。地元の高校生ボランティアスタッフや超美人スタッフ(噂では有名会社の社長ご令嬢)も同乗して認知機能不全の我々に気を遣ってくれる。とにかく、全員優しいのだ。通常の海外ツアーと何が違うのか?それは、ツアー参加者全員がオートキャンプという娯楽が好きな、精神的、経済的ゆとりのある同好の人々だということ。だから、初めから微かな連帯感が共有されている。さらにスマホがあるから、翻訳ソフトを使い、写真や動画を見せ合えば、多少のコミュニケーションは可能だし、ツアー中はコミュニケーションを急ぐ人はいない。そんなことをぼんやり理解したのは、ツアー終盤だったのには悔いが残る。来年のドイツFICCにも参加出来れば、この続きをやりたい。その意欲、今はある。英会話を勉強しよう。今は思う。
連日のナイトパーティーは無料。屋根はあるが半分野外の会場で、マジックショーや、多彩な楽器の演奏、雑技団、ダンスパフォーマンスなど、無料なのが申し訳ないほど楽しめる。しかもVIP席。楽屋はないので10mも離れていない場所でダンサーが着替えていたり、トイレで居合わせた若者はその直後、雑技団で物凄い離れ業を演じていた。こんな経験は普通あり得ない。あるナイトパーティーの最後に、日本人だけにステージに上がれと要請が入った。優れたショーには一所懸命な拍手を送っていたつもりだったが、やはり物静かな国民性ゆえに盛り上がりが貧弱だったか?何の罰ゲームか?と不安を抱えてステージに上がったが単なる記念撮影だった。日本人がちゃんと来てた、ということの記録だったか。各国の参加者の記念撮影が恒例なのかもしれないけれど、全部の国を撮影する日数はない。多くの国のなかで、日本を特に大切にしたい気持ちが伝わったきた、と私は勝手に感じた。そして同時に、この国とこの国の人々を大切にしたいと思った。ご近所で親日なのはこの国だけだし……。お互い近所のジャイアンには悩まされてるし……。
JAC中心メンバーは、皆さん大概社交的、優秀、英語が堪能。何より優しい。もの凄く頼りになる方々。しかし、彼らは自腹を切って参加している(正確には会長と事務局長だけは主催者招待)のだ。 しかも実は現役の方々で、時間を捻出して台湾に来ていた。会長(閉会式まで参加義務あり)以外は参加すべき会議を終えると日程半ばで帰国された。
JACからの参加者は皆同じホテルだったので、私は毎日深夜まで楽しい部屋飲みに参加させてもらった。その席で中心メンバー達の献身的とも言える裏話を直に聞くにつけ尊敬の念を禁じ得なかった。こんな何百人も集まるイベントを年々続けて行く情熱を、各国の中心メンバー達と共有している。正に驚異的。たかが遊びでそこまでやるか、というのが私の偽らざる最初の感想であった。なぜそんな情熱を維持できるのか?なかなか真面目過ぎる質問で、新入りの私が酒席で聞く事はなかったが、いつかチャンスがあれば聞いてみたい。
この旅の思い出は強烈だった。知らない世界を覗かせて貰ったとすら感じている。JACの中心メンバーの様な語学力も、持続する強い情熱も、多彩なコミュニケーション能力もないが、外人コンプレックスの私でもオートキャンプが好きな外国人となら、楽しい時間を共有でき、その出会いからその後も続く交流に発展する可能性がある。そして、FICCの活動はそんな一般老人ピーポーを増やし、未来の世界平和に微かに貢献するのかもしれない、などと壮大な夢と希望を感じた。そしてそれこそ、JAC中心メンバーの語らざるパッションの源泉の一つなのではないか、などと勝手に想像した。
第95回世界オートキャンプ大会の様子を台湾の人気YouTuberが紹介!
台湾大会の中で台湾で30万人のフォロワーを持つユーチューバーのインタビューを受けました!大会のレポートの他後半の協会松本、砂田両理事が日本のキャンプについてのインタビューの動画があります。