オートキャンプ場のルール、マナーに関する調査報告

オートキャンプ場のルール、マナーに関する調査報告

近年のキャンプ人口の拡大によりキャンパーのルール違反、マナーやモラルに関する問題が各所で取り上げられております。問題はキャンパー側によるものばかりでなく、キャンプ場施設管理側のルール設定の「厳しさの度合い」の違いも一因として考えられます。
そこで今回、各キャンプ場での「施設利用規約(ルール)」設定などの実態に関するアンケートを実施させていただきました。以下、その集計結果となります。

■キャンプ場で禁止している「禁止事項(ルール)」に関して

直火、就寝時間、楽器などの演奏、打ち上げ花火などは、半数以上のキャンプ場で禁止にしているようです。一方で、炊事場での洗濯、ドローンの使用、指定場所以外の喫煙、未成年の宿泊は禁止していない(黙認している)というキャンプ場は現状でまだ多いという結果となりました。恐らくこうしたギャップ(グレーゾーン)がキャンパーにとっても判断の分かれるところなのかもしれません。

■キャンプ場で「マナー」として、利用者にお願いしている内容に関して

「ペット同伴」や「ゴミの分別」はルールに記載している率が多い一方で、『マナー』と『ルール』の比率が拮抗している項目でも、グレーゾーン『記載がない』比率が少ない項目は周知は行われていると読み取れます。一方でグレーゾーン比率の多い項目はキャンパーの「良識にゆだねる」という、いわゆる個人の『モラル』に依存していると見られます。

■キャンパーのルール及びマナー違反の発見報告件数(繁忙期1週間平均)

繁忙期の1週間のマナーやルール違反に関する報告件数は全体平均(総発生件数÷報告キャンプ場数)で2.49件となりました。多くの場合、週末の土日に集中していると予測されることから、土日はほぼ何らかのトラブルが多くのキャンプ場で少なくとも1件以上は発生していると推察できます。

■キャンパーのルール違反 発見や報告、注意の頻度

「焚き火」や「ゴミ置き場」におけるマナー違反は多くのキャンプ場で毎週のように発生しているという結果でした。(※グラフメモリ単位:10件)

■キャンパーからキャンプ場へ届くクレーム発生スポットとその頻度

騒音、隣人サイトによる一部キャンパーのマナー違反が他のキャンパーの迷惑になりクレームに発展しているケースほか、予約やサイト割によるトラブルが時折見られる傾向が多い結果となりました。(※グラフメモリ単位:10件)

■キャンプ場スタッフのテントサイトへの1日の巡回頻度(土日、繁忙期)

繁忙期の巡回回数は全体平均で5.2回/日という結果になりました(巡回数合計÷報告キャンプ場数)。中央値としては下グラフの通り2〜3回となります。

■キャンパーへのルールやマナーの周知方法

ルールやマナーの周知方法として「チェックイン受付時」の口頭説明が9割以上の結果となり、紙に書いたものを渡しているところも約8割ありました。(複数回答あり)

■キャンパーへのルールに対して誓約サインをとっているか

約2割のキャンプ場では利用者にルールを守ってもらうために誓約書にサインをしてもらっているという結果でした。現代的にネットやスマートフォンで承諾をとっているというキャンプ場も15%ありました。

■スタッフへのキャンパークレーム対応に対する指導研修等は行ってるか?

■上記のような指導研修はどの程度行っていますか?

約4割のキャンプ場でスタッフへの研修や指導は行っていないという結果になりました。多くの場合、すべて責任者やマネージャーが対応に当たっていると推察されます。

■キャンパートラブル対応はマニュアル化(文書化)されていますか?

トラブル対応のマニュアル化はまだまだ進んでいない現状が判明しました。マニュアル化されていないことで、オーナーや責任者が全て対応しなければならなかったり、スタッフによって注意の仕方や対応が異なるなどの状況になりがちです。利用者や周辺住民により信頼してもらうためにも、いつ誰が対応しても同じ対応ができる状況が望ましいと思われます。

■キャンプ場でのルールおよびマナー違反者の年代とスタイル傾向

年代に関係なく「ビギナーキャンパー」と「人数の多いファミリー」や「グループキャンパー」はキャンプ場ルール・マナー違反が多いという結果になりました。人数が多い場合はルール等が利用者全員に伝わらない場合が多いので、受付で受けた説明等は代表者がしっかり全員に伝えるようにお願いしましょう。(※グラフメモリ単位:10件)

■キャンプ場から寄せられた悪質なルール、マナー違反(抜粋)

  • 川に炭を捨てる。川でコンロや焚き火台を洗う行為。
  • 河川が施設外に隣接しており、河川だけの利用者がキャンプ場設備を勝手に使用することがあり、利用者のテントサイト内を横断する等、キャンプ場利用者でない人のマナーが非常に悪い。
  • 大人数のバーべキューのグループが大声を出していると、近隣サイトから苦情が出たため注意したが「逆切れ」された。
  • キャンプに来て飲酒を伴って会食。コロナ感染対策上、飲酒は禁止と説明するも、他のキャンプ場では禁止されていなかったと言われる。
  • バンガロー利用者がバンガローの裏手にゴミを廃棄。
  • ご予約をして頂いたのにも関わらず、受付せず勝手に入場し遊んでいた。「2、3分川の様子を見ていただけだ、何も知らない、お金を取るなんておかしい」などと文句を言われた。
  • バンガロー定員が4名までのところへ予約者以外の2名が夕方合流した。規定外につき代表者と話し合い、食事を済ませたら退場すると約束したが、消灯時間を過ぎても騒がしく、注意すると「飲酒運転になるので帰れない」と騒ぎ、肩を押された。仕方なく警察署に連絡すると,代表者が2人を連れて帰った—ふりして、バンガローへ戻って来て寝ていたらしい。翌朝発見した!定員オーバーの上、食べ残し残物や缶瓶が床下に放置されていた。
  • 外国人の方のグループが受付を通さず無断で場内に入り勝手にサイトでBBQや音楽をかけ他のお客様に迷惑をかけていた。注意をしたが日本語がわからないなどの難癖をつけそのまま居座ろうとした。
  • キャンピングカーで来場、ごみ食材を放置したまま就寝。朝カラス等に荒らされるも、まったく気づかず。
  • 焚火台の夜間放置。テントサイトでは芝生が焼けてしまい、コテージではテラスが焦げていた。
  • コロナと言うこともあり、防犯上も、キャンプ施設の見学はお断りしてるが、ドライブついでの人が来て、見学を強要する。断ると誹謗中傷の口コミサイトへの書き込みをされた。
  • 1区画に対し車1台入場が可能だが、グループで利用の方などは、可能台数より多く入場する事があり、車両通行帯を狭めてしまうことがしばしばある。
  • 家族連れの客が場内で立小便し親が子供にも立小便をさせていた。
  • 備品やキャビン棟デッキのテーブルを焦がし黙って帰る。
  • 燃えるゴミの中に中身が半分程度残ったガス缶が二個投入されていた。ゴミを手で触って確認中発見した。その後も同様の事例が3回あった。
  • 一つの袋にビン、缶、ペットボトル、生ゴミ、子どものおむつ、その他のゴミをすべて一緒にして出す事例が増えた。若いファミリー層の一部と若者グループの一部、40~50代の大人だけのグループだと推測される。
  • 日本人の名前で申し込まれたが、来場したらアジア系の外人のみで日本語は片言、消灯時間後も騒がしかった。深夜だったが申込者に連絡を取り、強制退場の警告までして事態が収まった。
  • 夜に昆虫採集のトラップ(主にカブトムシ用)を仕掛け、外さずに帰ってしまう。日中蜂が集まってしまい、外すまで他のキャンパーの迷惑になっていた。

「キャンパーマナー向上」に向けてアウトドア業界全体で取り組むべきアイディアやご意見(抜粋)

  • アルコール類の持ち込み禁止
  • マナー違反のあったユーザーに対して採点をし、各キャンプ場で共有する情報サイトの立ち上げ。
  • 焚火台を販売するときには、防火シートもセットで販売するのが望ましいと思います。
  • アウトドア業界共通の禁止事項を記載したポスターやチラシを各施設・各施設HPへ掲示
  • 就寝時間があるということを当たり前にする。キャンプの心得ポスターの配布。スポーツ用品店やキャンプ用品店舗等へマナーブックの配布。初心者キャンパーが増えてきた今だから徹底的に周知してもいいのではと思います。マナーを守れない人は見ても守りませんが。
  • 大人2人以内と子供のファミリーキャンプ、ソロキャンプの勧め。
  • マナー違反してはいけないというポスターがほしいです
  • 良心に訴えて行くしかない
  • 様々なお客様がいらっしゃるので棲み分けが必要だと思う。
  • ポスターの作成(硬いものではなく、イラストを交えた子どもでも理解できるもの)
  • 夜の見回りの徹底
  • キャンプ用品メーカー、販売店、キャンプ場、アウトドア雑誌などが協力して共通のキャンペーンを展開すれば良いと思う。
  • マナー周知の記事を定期的に作成し、各キャンプ場公式SNS、キャンプ有名人のSNSに同時掲載
  • キャンプの初心者に対し、基本マナーを添付して欲しい。
  • 情報の共有化(個人情報の取り扱いがネック)
  • 大物YouTuberとコラボしたキャンプマナー啓蒙動画の制作
  • ある一定のルール(車の徐行や騒音ルール)などが統一されたキャンパーが楽しめるような基準を設けそれらを啓蒙するようなPR活動やキャンプ場にも掲示できるポスターなどがあれば嬉しいです
  • 今回の設問でルール化が必要な項目が明確になった。チェックイン時に配布するチェックリストのようなものがあると便利
  • 動画サイトで焚火の仕方やマナーを有名ユーチューバーに伝えてもらう。
  • オートキャンプ場が協会に加入しているキャンプ場独自で、共通マナー・ルールを作って、それを共有することによって、加入しているキャンプ場であれば、安心してキャンパーが利用できるような体制作り。
  • ルール マナー表の配布
  • 受付時の説明と細かな巡回。
  • お客様の意識向上
  • キャンプ系YouTuber(特に女子)に協力をお願いし、キャンプ場でのマナー違反の事例をドラマ仕立てで制作し、YouTubeで流す。
  • 各キャンプ場共通のマナーみたいなことをサイトや動画で共有して、キャンペーンやったらイイ
  • 雑誌等でのキャンプ場利用のマナーの特集を行う等
  • ファミリーキャンプ、ソロキャンプに徹底し、みんなで一緒にキャンプの考えを無くすことだと思います。これは宴会の思想でマナーが悪くなるに決まっています。グループキャンプを禁止したらぴたりと無くなりました。自然とマナーは改善します。
  • 「こんな事は迷惑です」(協会の名前入り)のポスターをキャンプ協会主導で作ってほしいです。各キャンプ場で掲示出来ればいいように思います。
  • 実際にドアの頻繁な開閉が周りの方に迷惑をかけているとは、本人は気づいていませんでした。そんなポスターがあったら買いたいです。
  • スタッフがサイトをよく見回って声をかける
  • キャンプギアを取り扱う会社、店舗でのマナーに関する啓発
  • 標準的なガイドラインを設置し、啓蒙活動などいかがでしょうか
  • 「キャンプ憲章」(日本オートキャンプ協会)推奨
  • アウトドア関連ショップでルールブック配布 キャンプ場でルールフライヤー配布 
  • キャンプ場統一マナーを設定し、各キャンプ場HPに掲載し利用者に周知してもらう(キャンプ場での過ごし方が分からない大学生に特に必要だと思う)  
  • キャンプ場はバーベキュー場ではない キャンプリテラシー欠如の学生には教育が必要
  • アウトドア用品メーカーからの啓発や用品制作(あきらかに低い焚火台やプロジェクター、無駄に大きいテントなど環境やキャンプ場の営業に全く配慮していない商品を作るメーカーがモラル低下を助長する要因の1つになっている)
  • ビギナーキャンパー向けにタレントなどを起用してYouTube動画を配信(楽しく軽いノリで)
  • レンタルキャンピングカー貸出時に、最低限のマナーブックを配布させるとか、レンタル業界で改善を考えないと、「レンタルキャンピングカーお断り」となりかねないです。
  • 消灯時間以降のサイレントタイムの常識化への共通行動・啓発活動・ネットCM・ユーチューブ等SNSでの啓蒙活動(直火禁止やごみ捨てルール)
  • 環境問題を謳った宣伝
  • 一般キャンパーからの情報発信を多くする。
  • 知らない(無知)ゆえの違反も多いので、火の始末等を動画にしてアップしてほしい
  • キャンパーのマナー向上も大事ですが、キャンプ場自体にも問題があると思います。キャンプ場はホテルや旅館より開放的な分、他の宿泊業とは違いお客様に寛容な風潮が業界全体に浸透しています。全てのキャンプ場が毅然とした態度で対応するのが最終的にはお客様のためになるかと思います。
  • やはりキャンプブームの中、ルールに関してどこでも頭を悩ませていることだた思います。現在当キャンプ場ではアウトドアブランドのコールマンがキャンパーの心得としているものを掲示しております。何処のキャンプ場にでも当てはまる必要最低限のマナーを啓発するもので皆さん結構見て納得していますし、お父さんが子供たちに「ちゃんと読んで守りなさい」と言ってる姿を見ます。個々のブランド発信ではなく業界全体の取り組みとして啓発するポスターなどを作って配布してはいかがかと思います。
  • どこのキャンプ場でも同じ掲示物が貼ってあれば、一定の抑止力にはなると思います。
  • 個人情報による認証制度を採り入れ、ブラックリストに載るような迷惑行為をした利用者をはじくシステムがあるとよい。
  • もしできるのであれば、やりっぱなしキャンプ場というスタイルで、宴会・直火・ゴミ放置ありの高価格な設定を売り出しても面白いかもしれない。
  • 芝生上で焚き火を行う際は、焚き火台の下に断熱シートを必ず敷くものだとの周知。
  • 用具の販売時からの注意(メーカー責任)。金属製の火消し壺も緑の芝の上に置いた写真で売られている。 LEDランタンの明るさ、周囲への影響など。
  • キャンプ場ではこれが当たり前だと思ってもらえるようなルールの共有があれば認知しやすいのではないでしょうか?
  • キャンプ場は騒ぎに来るところじゃないということを広めてほしいです。キャンプ用品購入時に最低限のマナーを知らせるプリントなど、商品に同封して頂けたらと思います。製造メーカーの協力がいりますが購入者の目にとまると思います。
  • 悪質クレーマーの情報共有
  • 便利で快適な道具をあまり作らない。簡易で安い使い捨て用品を作ったり販売しない。

【調査実施概要】

  • 目的:全国オートキャンプ場のルール運用状況の把握とキャンパーマナーの実態調査
  • 実施期間:9月下旬〜10月中旬
  • 実施対象:全国オートキャンプ場(公営、民間の合計約1,000施設)
  • 調査方法:インターネット
  • 回収数:136施設
  • 調査主体:一般社団法人日本オートキャンプ協会

※回答に協力いただいたキャンプ場様には後日、ここに紹介できなかった公設/民間別の各データ、違反記録の保管共有方法、各施設独自に行われているマナー向上の取り組みの他、特定情報を除外した生データを共有させていただきます。今後の業界の更なる健全な発展のためにルール遵守・マナー向上の運営体制構築の参考にしていただきたい。