「楽天トラベルキャンプ」ビジネスインタビュー

「楽天トラベルキャンプ」ビジネスインタビュー
〜切磋琢磨してユーザーのアウトドア体験の幅が一層広がること目指して〜

楽天がキャンプ場予約サービスに本格参入し、アウトドア愛好家の間で大きな話題となっている。これまでホテルやゴルフ場などの予約サービスを提供してきた楽天が、キャンプ場予約にも参入することで、アウトドア体験の幅が一層広がることが期待される。
今回、担当する楽天グループ株式会社 アウトドアビジネスグループの小林淳吾マネジャーにお話を伺ってきた。

■インタビュー動画

■インタビューテキスト要約版

※テキスト要約版は動画を元にリライトおよび要約を行なっております。動画とは書き方や表現が異なっている点がございます。あらかじめご了承ください。

小林淳吾マネジャー(楽天グループ株式会社 アウトドアビジネスグループ)

《キャンプ場ネット予約への参入当初の印象について》

Q:実際に入ってみてどうでしたか? 今までゴルフもやられていて、キャンプ場に予約というので全然畑は違うものだったんですか?

A:もちろんユーザーも違いますし予約の入り口も違うのでそこは違うんですけども、 やっぱりゴルフも十数年前はインターネット予約ができなくて、一生懸命インターネットで予約できるようなDX化を進めてきました。 (自分も)キャンプ場に行くキャンパーとして一生懸命ハガキを送ったり、何百回もリダイヤルしたりして予約を取っていたので、もっと便利にしないとユーザーも離れてしまうなと思って、 便利なサイトで関係を作らないといけないというのはありました。

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《他社予約サイトとの差別化について》

Q:先行の会社さんもいると思うんですけど、 差別化は何か考えられて入ってこられたんですか?

A:インターネットの予約サービスの知見がありますので、 キャンパーに対しても、いろいろな楽天のサービスとの相互利用ができます。そこが我々のメリットになるかと。あとは競合はあった方がいいと思っているんです。切磋琢磨して、それぞれ改善していくことで ユーザーがより使いやすいものになっていくので、まだ競争に余地もあるかなというところが動機の一つではあります。

 Q:キャンプの予約に関しては具体的にどの辺が強みになられるんでしょうか?

 A:当然、楽天ポイントが「使える、貯まる」というのは大きな強みにはなります。あと、楽天のユーザーというのはアウトドアを利用される方がたくさんいらっしゃいますので、 楽天市場でアウトドア用品を買う方もいれば、楽天カードを決済に使う方もいらっしゃいます。 その他にも楽天トラベル観光体験とかですね。 そういったアウトドアにまつわるような、例えばレンタカーのサービスもありますし、 そういったところとの、まだまだ実現できていないことだらけなんですけれど、 相互利用みたいなもので利便性が上がるかなというところはあります。そこはメリットといいますか、強みになってくるのかなというところです。

《 規模と地域連携について》

Q:楽天トラベルキャンプさんのキャンプ場予約の規模は現状どれくらいですか?

A:全国で約700です。

Q これをこれからもどんどん増やしていくということなんですね。 700ヵ所というと、キャンプ場で数えればだいたい2000ヵ所とかあって、 オートキャンプ場で1200〜1300ヵ所ですから、かなりの割合は占めているということですね。

A:その中にはグランピングの施設が入っている部分もありますので、 すべてがキャンプサイトではないんですけれども。今、予約で含まれているのはオートキャンプ場などのキャンプ場とグランピングです。基本的にアウトドア体験ができるというところがセグメントになっています。全国で営業を進めていまして、ただ、やっぱり関東はどうしても人が多いので、 関東のエリアの施設の方は多くなってきます。キャンプの特質性上、その地域のキャンプ場に行くという方が多いと思いますので、 全国的に広げていきたいなと思っています。

Q:地方の包括提携とか各社さんがやられていますけれども、 楽天さんでもそういう地域の連携はありますか?

A:地域の方々の店舗さんだったりとか、 そういったところと一緒にやっていくというのが楽天の社風ではありますので、 そこは力を入れたいと思っています。部署は違うんですけれども、 そういった地域包括協定を結んで、地方自治体と一緒にふるさと納税などをやっているサービスがございますので、 そういったところと連携をしていきたいと考えています。 山口県長門市と楽天として地域包括協定を結んでいまして、 長門市さんの中にもキャンプ場さんがあるんですけれども、 なかなか運営に手がかかるというところをDX化したいということで、 我々がサポートして「楽天トラベルキャンプ」でウェブ内の予約受付を始めています。 設定だったりとか運営の部分もサポートしたいということで、 そういったものも広げていきたいと思っています。

《営業やサポート体制に関して》

A:基本的に営業部隊がいまして、 そのほか編成であったり、マーケティングであったりとか別の部隊があって、一連のサービス運営ができる体制になっています。

Q:楽天トラベルキャンプにキャンプ場さんとして申し込み契約させていただいたとして、その後のサポートというのはどういう風になりますか。

A:もちろん最初の立ち上げの瞬間が一番大事だと思うんですけども、登録であったりとか、プランを作ったりとか、あとやっぱりその在庫も定期的に入れなければいけない。そういったところを忘れてしまうということもあるので、我々の方で在庫のチェックをしながら、追加のご連絡をさせていただいたりとか、情報を載せれば(予約が)入るというものでないので、お客さんに選んでもらうために必要な要素、何が必要なのかなどを、ちゃんとコンサルしていきたいなと思っております。
もちろん場所によっては直接行ってお話しできるケースと電話になる時もあるんですけども、 できるだけ懇切丁寧にお話しさせていただいて、一緒にモニターを見ながら、お客様に説明しながらというのもあります。大変だったのが、スマートフォンで通話をしながら「画面がこれ(スマートフォン)しかないんだよ」みたいなところで、 耳に当てていると画面が見れないというケースもあったりするんですけども、 そこもやっぱり諦めないといいますか、 理解いただけるように、一人の担当が何時間もかけてお話しするみたいなこともあります。ただ、ある程度ベースができてしまえば、そこから先の内容はそこまで手がかからないというか、 最初が特に大変だったりするので。
基本的に情報を登録したりとか写真の加工であったりとか、 プランを作って全部こちらでやらせていただいて、齟齬がないように確認をしていただいて、「ちゃんと在庫の確認をしてから公開をしてくださいね」とか、「 予約が入ったらメールが飛んできますので、ここをちゃんと毎日見てください」とか、そういうお話をさせていただいてます。
やはりご興味を持っていただいている方は、 多少なりとも予約を増やしたいとか、興味がある方なので、全くわからなくてもなんとか理解しようとしていただいているので、しっかりお話しさせていただければご理解いただけると思います。

Q:いいですね、 特に地方が本当はデジタルを取り入れてる人材とかも少なく、限られた人材でやらなきゃいけないから、DXが必要なのは本当は地方の方かもしれないですね。

 A:そうですね。 なので楽天トラベルキャンプの場合は、料金の方は全て事前決済のみで現地決済はやっていません。これもDXの一つで、現地での現金収支とかも含めて、決済といったものを無くすようになっていて、全部事前決済一本でやっています。事業者様によって、自治体の方ですごくレギュレーションが厳しく、なかなか自由にできない施設様と、結構自由に料金など含めてやれる施設様など、バラバラなので、恐らくご自身の土地ではなくて(委託を)受けてやっているところだと思います。自由にやれる施設様があれば、反対にガチガチに「議会に投げなければ決められません」というところもあり、そこは今後、別のアプローチが必要なのかなと思います。

《サイトコントローラー等は利用可能なのでしょうか? 》

A:「ねっぱん」は連携しておりまして、今後チャンネルも増やしていきたいなと思っています。 やっぱりそこは広げた方が施設様のメリットになるので。サイトコントローラーは、ただ、実際にキャンプ場という括りで言うと、他に繋げている場所がないので自社と楽天トラベルをサイトコントロールにつなぐとか、そういうふうにやられているケースはありますね。それだけでも在庫の管理は楽になりますので、サイトコントローラーは導入しております。

《プロモーションとかのサポートはどういった形でしていただけるのでしょうか?》

 A:我々のサイト内では、新規の方専用の特集ページであったりとか、 オススメページやメールマガジンもやっております。また、楽天トラベルの中にもキャンプという動線があり、 そちらからも来ることができますので、楽天の1サービスとして、 例えば楽天市場のアウトドアジャンルの特集の中にも動線があったりとか、 いろいろなところから入れるようにしています。

《やっぱり普通の旅館ホテルに比べてキャンプ場は複雑なんですか? 》

A:個人的な経験で言うとホテルとかの方が複雑かなと。料金もだんだん人数ごとに安くなっていったり、これは別に楽天トラベルに限ったことじゃなくて、日本の旅館とかホテルってみんなそういう風になっているので、ちょっとキャンプ場さんの一般的な区画売りみたいなことは、作り方が違う部分があります。値段の付け方とか。
ただ、やっぱりすごく皆さんバラバラではあるので、ある程度統一と言いますか、ユーザーが分かりやすい方がいいとは思っています。
キャンセルポリシーに関しては楽天トラベルキャンプでは決まっているんですけれども、 施設様が自由に変えられないようになっていて、選べるという形になっていますけれども、中には30日前からキャンセルフィーがかかる施設様もあり、ユーザーにしてみれば30日前からキャンセルできる方はなかなかいないだろうと。 ホテルとか旅館業務ではある程度、 旅行代理店さんとかでポリシーとかは決まってはいるので、 そういうところにキャンプもある程度合わせていくというか、 そうした方がユーザーの利便性が上がっていくのではないかと思います。キャンセルポリシーとかプランとか、そういったところもできるだけ整えていった方がいいなとは思っています。
我々はコンサル、サービスの提供をするという格好をしているので 本当にWin-Winのところで、店舗売上がやっぱりたたないといけないですし 、持続していかないといけないので、良いところを見つけていかないといけないんだろうなと思いますね

《楽天トラベル予約から入って来る方にインバウンドの方が多いと聞いたのですが?》

A:建物があるものに限るんですけども グランピング施設やバンダローを扱う「Vacation STAY」というサービスがあるんですけども そこを介して楽天トラベルやブッキングドットコムに配信しているんです。配信するサービスをそこに載せて海外のOTAにも出しているので インバウンドも取れるので そこはメリットになっていると思います。

《最後に、キャンプ場経営や管理されている方に一言お願います。》

A:ワンオペで続けて回されているキャンプ場さんも結構いらして ネットで予約をする設定など、なかなか手がかかってできないという施設も多いと思います。 そういった施設面に対してのサポートも我々の強みなので、ご相談いただければ、できるだけ手のかからない形で ネットで集客のお手伝いができると思っています。

ありがとうございました。

楽天グループ本社にて(左:楽天 小林淳吾マネジャー、右:JAC 堺事務局長)

◾️楽天トラベルキャンプ情報、およびサービス利用案内

会社概要	楽天グループ株式会社
旅行業登録番号	観光庁長官登録旅行業 第1964号
旅行業登録年月日	2013年12月25日
営業所所在地	本社営業所
〒158-0094 東京都世田谷区玉川一丁目14番1号 楽天クリムゾンハウス
所属旅行業協会 一般社団法人日本旅行業協会正会員
https://camp.travel.rakuten.co.jp/

取材・編集:日本オートキャンプ協会 事務局編集部