2025年12月、新潟県長岡市「WEST長岡店」にて、新潟県アウトドア協会・新潟県地域振興局共催による「第4回キャンプ場管理者等の情報交換会」が開催されました。

本会には、全国のキャンプ場動向を共有するため、当協会会長・田代嘉宏が出席し講演を行いました。また、新潟県鳥獣被害対策センター様より、新潟県における熊被害の最新状況と、現場で実践すべき対策について、具体的かつ実務的なお話がありました。
本記事では、当日の内容のうち、特にキャンプ場運営に直結する熊対策のポイントを中心にご紹介します。
人口減少と耕作放棄地が招く、熊の生息域拡大

新潟県農林水産部 農産園芸課 鳥獣被害対策センター 統括調整監 長谷川様からは、近年の熊出没増加の背景として、
- 人口減少に伴う耕作放棄地の増加
- 人間社会と野生動物の生活圏の境界があいまいになっていること
が指摘されました。
新潟県はもともと熊の生息地域であり、「熊が出てきた」のではなく、「人の生活圏に近づいてきた」という認識が重要であるとのことです。
過去最多を更新する熊出没件数と人的被害
熊の出没件数は年々増加しており、
- 令和7年:出没件数 3,400件超(過去最多を更新中)
- 人的被害:17名
- 過去には令和2年に人的被害が多発
という深刻な状況が報告されました。
さらに、12月に入っても県内各地で目撃情報が減らないことも、近年の大きな特徴です。
秋の栄養状態が翌年の出没リスクを左右する
熊は、
- 秋にどれだけ栄養を蓄えられたか
- それによって妊娠できるかどうか
が決まるとされています。

つまり、秋に人里で食べ物を得てしまった熊は、翌年以降も人の生活圏に執着するリスクが高まるということです。
一度「良い思い」をした熊は、学習能力が高く、対策が非常に難しくなるため、寄せ付けない初期対応が極めて重要です。
熊を寄せ付けないための基本対策 ― 食べ物管理の徹底

熊対策の基本は、「食べ物を与えないこと」です。
- 生ごみは熊にとって「ごちそう」
- 匂いのあるものは必ず密閉
- フードロッカー、ジッパー付き容器、車内での保管を徹底

クマ出没が強く懸念されるエリアにおいては、利用者への具体的な行動指示を明確に伝えることが求められます。
電気柵は熊忌避に有効な対策

熊対策として、電気柵の設置はかなり有効です。
- 目安:約100mで10万円程度(簡易型)
- 熊対策では4段張りが基本
- 熊は一番下のラインの下を掘って侵入しようとする
- トリップラインを併用すれば3段でも効果が期待できる

電気柵は、熊に「ここは危険だ」と学習させる忌避効果が高いとされています。
キャンプ場としてできるリスクマネジメント

キャンプ場運営者として、以下の対応が重要とされました。
- 熊出没情報をリアルタイムで確認
- 状況によっては施設閉鎖を判断する勇気
(人身被害リスクを最優先に考える) - 施設側から、正確で一貫した情報発信を行う
「何かあってから」ではなく、リスクを想定した事前判断が、運営者の責任として求められます。
た。
市町村との連携が、現場対応力を高める
市町村と日頃から密に情報共有を行うことで、
- 捕獲地点
- 出没傾向
- 地域ごとのリスク
といったより詳細な情報を得ることができるとのことです。
キャンプ場単独ではなく、行政との連携が重要な鍵となります。
まとめ
熊被害は、特定の地域や一時的な問題ではなく、人口減少・土地利用の変化という社会構造の中で起きている課題です。
キャンプ場は自然と人をつなぐ場所だからこそ、「正しく恐れ、正しく備える」姿勢が、これまで以上に求められています。
当協会では、今後も全国の事例や最新情報を共有し、キャンプ場運営者の皆様とともに、安全で持続可能なキャンプ環境づくりに取り組んでまいります。
JACアンケート結果より「クマ出没によるキャンプ場への影響ついて」
昨今話題となっているクマ問題について、JACではキャンプ場への影響を独自調査しました。そのアンケート結果の抜粋を以下記事にて紹介しております。
※本記事で使用している写真以外の画像は、記事の内容をもとにAI生成したものを使用しています。
以下は、会議内でお話の合った内容です。ご参考までにご覧ください。
利用者に伝えるべき「被害にあわない行動」

利用者向けの注意喚起として、以下の行動が紹介されました。
- 早朝・夕方の単独行動を避ける
- 鈴も有効だが、複数人での行動が最も確実
- 熊スプレーの携行
熊スプレーについて

安価で効果が不明な製品も流通しているため、信頼できる製品選定が重要です。以下に信頼できる製品の一部を紹介します。
- カウンターアソールト ストロンガー(飛距離 約10m)
- フロンティアーズマン MAX
- 熊一目散(国産/飛距離5m超、日本人に使いやすい構造)
万が一、熊と遭遇した場合の行動

遭遇時に最も重要なのは、落ち着くことです。
- 大声や急な動きはNG
- 熊を刺激しない
- 目が合ってもそらさない(そらすと追う習性がある)
- 背中を見せず、後ずさるように後退

攻撃された場合は、
- 顔・首・腹部を守る
- 手を首の後ろで組み、脚を開いて踏ん張る
- ひっくり返されないよう耐える
この姿勢を取った人は致命傷に至らなかったという、大学教授による研究報告も紹介されました。
