クマ出没によるキャンプ場への影響について(アンケート結果より抜粋)
熊出没と向き合う現場から
—— 数字が示す、キャンプ場運営の「切実な現実」
各地で熊の出没に関する報道が続く中、キャンプ場の運営現場では、利用者の安全確保と営業判断のはざまで、これまで以上に難しい対応を迫られています。
調査について
日本オートキャンプ協会(JAC)では、現場の実態を可視化し、今後の安全対策や関係機関との連携につなげていくことを目的として、
「熊出没による営業影響と安全対策に関する簡易調査」を実施しました。今回の調査には、全国122のキャンプ場から回答が寄せられています。
今回はそのアンケート内容から一部を抜粋してご報告いたします。
今回はそのアンケート内容から一部を抜粋してご報告いたします。
動画で確認したい方はこちらよりご視聴いただけます。
https://youtu.be/VLn8QgPXptU
こちらの動画は、アンケート等から作成した資料を基にAIで作成しています。よって誤字なども含まれますので了承のうえご視聴ください(数値などの分析に直接影響しない間違い)。
熊出没による営業影響と安全対策(アンケート結果まとめ)
—— 数字で見る「現場の実害」と「構造的リスク」
本アンケート(回答122施設)の定量結果から、熊出没は一部地域の特殊事例ではなく、
高い確率で売上減少や運営判断に影響を及ぼす構造的リスクであることが確認されました。

ポイント
72.1%
(88 / 122施設)
敷地内または半径10km圏内で熊出没情報があった
45.1%
(55施設)
予約キャンセル・売上減少が発生
約57%
(熊出没88施設に限定)
売上が5%以上減少した施設
熊が敷地内に出ていなくても、「敷地外(1〜10km)での出没」や
「ニュース・報道のみ」をきっかけに、
実際の売上・稼働率に影響が出ていることが確認されています。

(1)売上減少・キャンセルの発生状況
予約キャンセル・売上減少があった:55施設(45.1%)
なかった:18施設(14.8%)
わからない:21施設(17.2%)
少なくとも約半数の施設で実害が発生しています。
「わからない」という回答が一定数あることから、
来場控えなど、数値に表れにくい影響が含まれている可能性もあります。

(2)売上減少率の分布(122施設)
| 売上減少の程度 | 施設数 | 割合 |
|---|---|---|
| 20%以上減少 | 12 | 9.8% |
| 10〜20%減少 | 7 | 5.7% |
| 5〜10%減少 | 21 | 17.2% |
| 5%未満減少 | 11 | 9.0% |
| 減っていない | 29 | 23.8% |
| 判断できない | 42 | 34.4% |
キャンプ場外で熊出没があった88施設に限定すると、
「売上が5%以上減少」した施設は約57%。
敷地外であっても熊出没は高確率で売上減少を引き起こすことが読み取れます。
休業・エリア閉鎖という「最も重い影響」
敷地内・外含むで熊出没情報があった施設:122施設中 88施設(72.1%)
約7割のキャンプ場が、敷地内または半径10km圏内で 熊出没の影響を受けています。
約7割のキャンプ場が、敷地内または半径10km圏内で 熊出没の影響を受けています。
敷地外での出没情報や報道のみであっても、
風評によるキャンセル・来場控えが発生しています。
熊問題は、もはや局地的ではなく構造的なリスクといえます。
熊問題は、もはや局地的ではなく構造的なリスクといえます。

熊出没を理由に実際に休業判断を行ったキャンプ場は9%と、割合としては高くありません。
しかし、内訳を見ると「15日以上の長期休業」を余儀なくされたケースも含まれており、
一度の判断が運営・経営に与える影響の大きさが浮き彫りになりました。

実データに基づく損失インパクト
熊問題による経済損失は、以下の3点に分解して整理できます。
- 休業・エリア閉鎖による直接的な売上減少
- 風評(来場控え)による稼働率低下
- 周辺地域(飲食・買い出し・交通等)の消費減少
熊出没があった88施設の合計売上に対し、
約6〜7%相当の売上減少が発生していると
保守的に推定されます。
これは一過性ではなく、繰り返される構造的リスクです。

地域経済への影響(簡易試算)
オートキャンプ白書2025によると、
1回のキャンプ費用総額平均は23,258円、
キャンプ場利用料は5,246円(繁忙期平均7,694円)です。
このデータから、キャンプ場利用料は全体消費の約2〜3割、
残り7〜8割は周辺地域で消費される構造が読み取れます。
本分析では、行政説明に耐える保守的な係数として
キャンプ場売上:周辺地域消費 ≒ 1:0.8 を採用しています。
キャンプ場売上:周辺地域消費 ≒ 1:0.8 を採用しています。
回答施設だけでも確認される経済損失(保守的推計)
約1,695万円
キャンプ場側の損失
売上減少・休業等を積み上げ
約1,356万円
周辺地域の損失
係数(1:0.8)を適用
約3,051万円
合計の経済損失
回答施設ベースの下限推計
※本推計はアンケート定量データおよびオートキャンプ白書2025に基づき、
行政説明に耐える保守的前提で整理しています。

寄せられた声(自由記述より)
多かった声
- 「安全を最優先にしたいが、休業の判断基準がなく悩ましい」
- 「利用者への説明に、精神的な負担を感じている」
- 「対策を講じたいが、人手も予算も限られている」
多くのキャンプ場が“対応していない”のではなく、「できる限りの対応をした上で、なお判断に迷っている」という実態が見えてきました。

JACとして
熊出没は、特定の地域や一部のキャンプ場だけの問題ではありません。今回の調査結果が示しているのは、
全国各地のキャンプ場が、同じ悩みと緊張感を共有しているという事実です。
JACでは、会員キャンプ場の声を「個々の現場の問題」として終わらせるのではなく、共通の課題として整理し、
今後、行政や関係機関との情報共有・意見交換の場でも本調査結果を活用していく予定です。
まずは、現場の実態を数字として“見える形”で共有することが、次の具体的な支援策や環境整備につながる重要な第一歩だと考えています。
日々の運営でお忙しい中、調査にご協力いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。
引き続き、現場の声を共有し合いながら、安全で持続可能なキャンプ環境づくりを、ともに考えていければ幸いです。
※本記事は「熊出没による営業影響と安全対策に関する簡易調査」結果(回答:全国122施設)をもとに作成しています。
