レジャー白書2025が示すレジャー市場の動向
■ 余暇関連市場は75兆円規模へ —— レジャー市場の拡大
公益財団法人 日本生産性本部が10月31日に公表した「レジャー白書2025」によれば、2024年の余暇関連市場は
75兆2,030億円(前年比5.6%増) と堅調な拡大を示しました。
余暇活動全体では、“体験価値を重視する消費行動” が強まっており、特に若年層を中心に
「所有から体験へ」 の流れが明確になっています。
(出典:『レジャー白書2025』公益財団法人 日本生産性本部)
■ “近距離・短時間”のレジャーが定着
同白書では、休日の過ごし方において「遠出よりも近距離・短時間で完結するレジャー」が選ばれる傾向が継続していると指摘されています。
手軽で満足度の得られる余暇体験が求められ、こうした行動変化はレジャー産業全体の重要な方向性を示しています。
■ 潜在ニーズの変化 —— キャンプが新たに上位へ
レジャー白書2025では、潜在ニーズ(今後やってみたいレジャー) の分析も行われています。
その中で今年特に注目されるのは、
キャンプが「男性では30代以外の年代で10位以内」、女性では「20代でランクイン」した点 です。
この傾向は前年には見られず、キャンプが従来の主要層とは異なる年代へと広がりつつある動きとして注目されます。
「今後やってみたい」と考える層の拡大は、アウトドア市場の中長期的な裾野の広がりを示す重要なサインです。
(出典:『レジャー白書2025』公益財団法人 日本生産性本部)
■ 体験価値志向がアウトドア分野を後押し
“体験重視”の潮流と、自然環境で得られる非日常性へのニーズは、キャンプ・アウトドア分野にとって強い追い風となっています。
自然の中での滞在を通じて得られる癒しや、家族・仲間との時間に価値を見出す利用者が増えており、レジャー市場の消費行動との高い親和性がうかがえます。
■ キャンプ利用の実態 —— 平均回数5.0回・平均泊数6.7泊
当協会が発行した「オートキャンプ白書2025」では、2024年のキャンプ利用状況として、
キャンプの平均回数は5.0回、平均泊数は6.7泊 と示されています。
利用回数は落ち着きつつも、コロナ前より高い水準を維持しており、若年層・ライト層による“短時間キャンプ”の回復も確認されています。
また、キャンプに求められる価値として、自然体験・癒し・家族や仲間との時間 が依然として高く評価されています。
(出典:『オートキャンプ白書2025』一般社団法人 日本オートキャンプ協会)
■ レジャー市場全体とキャンプ市場の流れを重ね合わせる意義
レジャー白書が示す余暇市場全体の動向と、オートキャンプ白書が明らかにするキャンプ利用の実態を組み合わせて読むことで、アウトドア分野の現在位置を立体的に把握することができます。 これらの知見は、キャンプ場運営・メーカー・自治体などアウトドア関連事業者にとって、企画立案や事業判断の基礎となる重要な情報です。
■ キャンプ人口の減少だけでは読み誤る市場の実態
オートキャンプ白書2025では、キャンプ参加人口が前年よりやや減少したことが示されています。 しかし同時に、レジャー白書2025で示された潜在ニーズを踏まえると、キャンプは依然として「やってみたいレジャー」として高い位置を維持しています。
男性では30代以外の年代で10位以内、女性では20代でランクインしており、 新規参入の余地は十分に残されていると言えます。
この点から、現在のキャンプ市場は単純に「冷え込んでいる」と評価するのではなく、 潜在層を実参加へ転換する仕組みづくりが次の成長フェーズにおいて重要である と捉える必要があります。
■ 参加のハードルをどう下げるか —— “選択負担”が大きな壁に
潜在ニーズは高いにもかかわらず参加率が伸びにくい背景には、 キャンプを始める際の「選択負担」が大きな要因として存在します。
道具・サイト・スタイル・ルールなど、多くの項目を一から選び判断しなければならないことは、
初心者にとって心理的なハードルとなり得ます。
この負担感は特に若年層で顕著です。
■ パッケージ化が有効 —— アルファ世代〜Z世代の価値観に合致
旅行やレジャーを「自分で全部選んで組み立てる」ことが前提だった従来世代と異なり、 アルファ世代からZ世代にかけては、 選択肢の多さそのものが負担となりやすい世代特性 が見られます。
※出典:じゃらんリサーチセンター「ジェネレーションアルファ調査(2025年)」https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2025/05/terimakasih-GenerationAlpha202506.pdf
こうした世代にとっては、必要なものがあらかじめ揃っている
パッケージ型の体験の方が参加へのハードルが圧倒的に下がります。
そのため、初心者向けプランや“手ぶらキャンプ”をさらに発展させ、 道具・体験・安全・過ごし方をひとまとめにしたパッケージ型キャンプ体験 を整えることは、 潜在層が最初の一歩を踏み出すうえで極めて有効です。
最初の体験で負担が軽減され満足度が高まれば、 次第に自分なりの楽しみ方を見つけ、継続的な参加につながっていくことが期待できます。
■ 出口ではなく“入口の設計”が市場成長の鍵に
潜在層に「やってみたい」という意欲がある今こそ、 その意欲を実際の参加行動へ導く仕組みが求められています。
こうした“入口の設計”により、キャンプ体験の門戸を広げることが、 今後のアウトドア市場の成長において大きな役割を果たすと考えられます。
JACとしても、引き続き業界の皆さまのお役に立つ情報の提供に努めてまいります。
レジャー白書2025についてはこちら(日本生産本部余暇総研公式サイト)
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