JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告_2025夏休み「釣った魚しか食べられないキャンプ」

高校教諭でアウトドア部顧問をしているJACオートキャンプ指導者からアウトドア部の
活動の様子を報告いただいた。1学期を終えて、いよいよ夏休み。アウトドア部にとっては最も忙しい、夏休み真っ只中のキャンプ。昨年実施したキャンプのフィーチャーとして、今回は「釣った魚しか食べられないキャンプ」の模様をお届けする。

私が顧問を務めているアウトドア部では、現在高校1年生11名、高校2年生18名、高校3 年生18名の計45名で活動している。本年度、アウトドア部では11人の1年生を迎え、新体 制での活動を開始し、はや半年が経過した。夏休みを終え、文化祭を終え、秋のイベント ラッシュに突入しているにも関わらず、メールマガジンはまだまだ夏模様である。

さて、昨年実施した「和泉前坂家族旅行村 前坂キャンプ場」では釣り堀での釣りを 、「ACNオートキャンプin勝浦まんぼう」では、堤防釣りを実施した。サビキ釣り、と呼 ばれるもので、この時にはフグばかりが釣れたのだが、この時の釣りの経験から生まれた のが、今回の企画「釣った魚しか食べられないキャンプ」が誕生した。普通キャンプと言 えば食材を買ったりするが、事前購入の食材はゼロ。コンビニもスーパーも使えない。食 べることができるのは、自分たちの釣った魚のみという、ある種のサバイバルに近い状態 のキャンプになったが、真の目的はここではない。

近頃は日本人の魚離れが深刻である。これは単なる価格面、供給面、代替材(魚食から 肉食へ)などの要因が考えられる。しかし、家庭での魚食の減少により、例えば焼き魚を 箸で食べることができない(これは10代だけではなく20代前半にも見られる)、頭や内臓 が既に抜かれた状態で販売されていることで、魚本来の姿を誤認したまま育つ子供もいる ほどだ。この状況に一石を投じたい…と、そんな大それたことを考えているわけではない が、こうしたキャンプの取り組みが、自然体験活動における食育の一環として、普段は食 べない食材に触れたり、自然の中で食材を獲得、調理したりする経験を通じて、命や旬に ついても学べる、良い影響を与える機会でありたいと思う。

釣った魚しか食べられないキャンプ!

部長 中村蓮音
副部長 石若和裕 堀口大喜

 この夏、私達アウトドア部は「釣った魚しか食べられないキャンプ」という企画で伊豆市にお邪魔し、船釣りを楽しみ、自然と触れ合いながらの楽しいキャンプでした。
 日が昇るよりも前に出発し、このキャンプ旅は始まりました。その日の計画では、着いたらすぐに漁船に乗り沖まで出て本格的な海釣りをする計画です。私はよく川釣りはするのですが海釣りは初めての経験だったので、期待と緊張が常にありました。
 集合時間が早かったこともありみんな眠く、車が伊豆に向かい始めてすぐに寝始めてしまいました。そのような事もあり伊豆までは意外とはやく着いたように感じました。目的地の漁港に到着すると、地元の漁師さんが暖かく歓迎してくれました。堤防から海の状態を見たのですが深いはずなのに海底見えてしまうほどに綺麗だった事が今でも忘れられません。

 いよいよ漁船に乗船し、簡単なレクチャーを受けました。初心者向けの仕掛けでしたが、はじめて使う道具ばかりで使い方もわからないものばかりでした。ですが漁師さんに優しく教えてもらい道具の使い方がわかったところで、いざ出港です。波に揺られながら船が沖に進むに連れ伊豆の自然と海の魅力に心が惹かれていきました。

 5分ほど波に揺られ釣りポイントに到着すると、漁師さんに教えてもらったように餌を付けました。最初、周りのメンバーは釣れているのに私だけなかなか釣れず、焦りがでてきました。自分の餌に魚がかかるまで海を見ていたら船長が船内放送でサメがヒレを出して泳いでいるという放送を聞いた時は驚きました。私は初めて映画のように背びれを出して泳いでいるサメがいる事に驚きました。そんなことをしながら時間が過ぎていくと、ふとした瞬間手元にぐっと重みが伝わってきました。急いでリールを巻く力を込めると、紺色の魚体が段々と見えはじめてきました。魚を船に上げると30センチほどのイナダというブリの若魚でした。初めての海水魚だったのでとても嬉しかったです。その後もみんなでたくさん釣れ、船の上は賑やかな雰囲気になりました。時に後輩は小さいですがカツオを釣って来ることもありました。

 4時間ほどの釣りを終え漁港に戻りました。釣った魚の量を見る限り大量だったため晩御飯が豪華になるのではないかとワクワクしてきました。釣った魚の殆どはイナダが数えきれないほど釣れ、それ以外のアジなどの魚は手で数えられるほどしか釣れないという異常事態になってしまいました。

 その後は、西伊豆マリンベースキャンプ場に向かいました。海のすぐ横にあるキャンプ場でなんと場内には足湯もあるというキャンプ場でした。まずは拠点を完成させるためテント設営を始めました。

そしてこのキャンプの中で1番のメインイベントは釣ってきた魚の調理の時間です。作った料理はイナダの串焼きと煮付け、ハーブ焼きそしてあら汁を作りました。私の仕事は炭火で魚の串焼きを作る担当でした。他のみんなは魚を串に通し、それを焼く係でした。串焼きにする準備ができたらいざ火の中へ‼︎生焼けが無いようにしっかりと火を通し頂きました。シンプルな味付けでしたが油ののったイナダの塩焼きは皮がパリッと香ばしく身はふっくらとしていて、噛むたびにイナダの風味が口いっぱいに広がりました。

 次に煮付けとハーブ焼きです。この2つは串焼きにはない美味しさがあります。この2つとも作り方はとてもシンプルなのですが煮付けは身の中までしっかりと味が染みており、ハーブ焼きについては程よく塩味もあり、パンチの効いた調味料達がとても魚とマッチしていました。そして〆にはあら汁を作りました。釣りをしてる際、一緒に乗っていた漁師さんに「釣った魚であら汁を作る」という話をしたら、「あまり美味しくない」とのコメントが…。ですが、三枚おろしの時に残った中骨を炭火で炙って出汁を取り醤油などで味の調整をして頂きました。「あまり美味しくない」などと言われていたのですが、僕達は疲れた体に沁みたのかとても美味しく頂くことが出来ました。

~2日目のおまけ編~

 2日目は沼津市の戸田に突き出る岬に位置する、御浜海水浴場に寄りました。予定としては朝の涼しい間にテントを撤収し、キャンプ場から車で20分ほど揺られながら行きました。御浜海水浴場の遊泳区域は限られた場所のみではあるものの、波は穏やかで凪いでおり、潜ってみたら透き通っていてとても綺麗でした。

 今回の「釣った魚しか食べられないキャンプ」は大成功に終わりました。本当に、食材は0の状態でキャンプに行く、という普通ならありえない企画でしたが、釣った魚はいつもよりも美味しく食べることができました。漁船で釣りをすることも滅多にできない経験になり、綺麗な海にも入れて最高のキャンプになりました。

~あれから2か月後の後日談~

 今回実施した「釣った魚しか食べられないキャンプ」は、学内外の様々なイベントで話すと、「メチャクチャ面白そうですね!」と言われる企画ランキングで、堂々の1位として不動の地位を確立しました。きっとまた来年、次は駿河湾ではない別の場所で、このキャンプが実施されるのかもしれません。次はどこの海に行こうかな…。

文責
2年:三浦瑛仁 庄司孝太朗 松浦大晟

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