JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告
-合同合宿編-
高校教諭でアウトドア部顧問をしているJACオートキャンプ指導者からアウトドア部の活動の様子を報告いただいた。卒業式も終わり、アウトドア部ではまた1つの世代が旅立とうとしている。そんな3年生に、思いの丈を綴ってもらった。
私が顧問を務めているアウトドア部では、現在高校1年生16名、高校2年生18名の計34名で活動している。5月GW明けをもって3年生3名は受験のため一旦部活を離れ、新体制での活動となった。1,2年生34名という、部活動の体制としても未知の領域である人数での活動になり、顧問としても新たな挑戦の年となった。
今回は、2月下旬に実施した、アウトドア部の1,2年生全員が参加した、ライジングフィールド軽井沢での冬キャンプの模様をお届けする。今回のキャンプは、これまでとはまた趣向の異なる、明確な目標達成に向けた冬キャンプとして、アウトドア部顧問を持った5年間でも初めてとなる冬キャンプである。現地の天気は雪。日中最高気温は-4℃、明け方には-12℃というから驚きだ。凍てつく冬の寒さの中だったが、部員たちはこの極限の環境の中でも、よく頑張っていたと思う。
今回は、
【集団】… 集団の中での自分自身の役割とそのあり方を見つめ直す。
【個人】… 新しいことにも果敢に挑戦する。
【組織の世代交代】… 約1年間にわたる活動を通じ、現2年生の視点から、次の世代の幹部を決定し、アウトドア部の新しい世代への引継ぎを行う。
ことが目的であった。
そのため、1年生を見る2年生の目も、心なしかいつもよりも真剣そのものであった気がする。現2年生は、2023年9月から、1年半にわたって現体制での活動を作り上げてきた、また、それを維持し、活動を拡大してきた立役者だ。顧問としても、この世代へは特に信頼を置いているが、ここは高校の部活動。ずっと同じ世代が上に立つわけにもいかないのが現実だ。また1つの時代が終わろうとしている。そして次の時代が始まる。
このキャンプを通して決定した新しい幹部と部員たちによるアウトドア部が、どんな部活動になっていくのかも、非常に楽しみだ。
最後に、本校アスリートコースのアウトドア実習や今回の冬キャンプなど、多様なニーズに応えて、限られた予算内で素晴らしいキャンプ会をコーディネートしてくださった、現地スタッフの中野未久様とスタッフの皆様方に、厚く御礼申し上げます。
アウトドア部全員で乗り越えろ!軽井沢での極寒!冬キャンプ!
~そしてアウトドア部は新たな世代へ~
武蔵越生高等学校 アウトドア部
顧問 髙橋皓正(公認オートキャンプインストラクター)
部長 中村蓮音
副部長 堀口大喜 石若和裕
今回私達は2月22日と23日に長野県にあるライジングフィールド軽井沢様で、1,2年生合同キャンプ会をしました。このキャンプでは、顧問の髙橋先生や、ライジングフィールドの中野様が決めたキャンプの目的を遂行するためのキャンプとなっていました。また、このキャンプが終わるころには、次の部長、副部長が決まっているということも、僕たち1年生のキャンプへの意識もより高まるきっかけになりました。

キャンプ場に到着後、施設の説明などを受け、テントを設営をしました。テント設営では普段使い慣れていない貸出テントを使用したため、設営にかなり時間を要しました。今回は、1,2年生の混合グループによるチーム編成だったので、あまり話さない先輩たちとも話す機会があり、縦の繋がりも増え、仲が深まるきっかけができました。



昼食が終わったら、「プロジェクト・アドベンチャー」という、冒険を基礎にして、個人の成長とグループ内の人間関係を支援することを目標とした遊びをしました。プロジェクト・アドベンチャーではそれぞれペアを作ってのキャッチボールを行いました。2人では簡単なゲームでも、それが4人、8人…と増え、さらにボールも2つ、3つ…と増えていくと、難易度が急激に増しました。そのうえで、「落とさないように」という条件が加わるので、「相手のことを考えた投球(行動)」が常に試されます。
このミッションにクリアした後、私達のグループでは倒木の上で地面に足をつけないように誕生日順に並び替えるというゲームをしました。このゲームでは雪で滑りやすい木の上に落ちないようにバランスを取ることや、誕生日順に並び替えるのが非常に頭を使うので難しかったです。
もう1つのグループでは、ターザンロープを使って、小さな島に飛び移る、というゲームをしました。ただこの「島」が、とにかく小さく、かなり詰めないと全員が乗り切らないぎりぎりの大きさの島でした。制限時間内に全員が飛び移らないといけないルールなのですが、コツを掴んだ頃には、時間切れとなってしまったのは苦い思い出です。
その次に縄飛ばないという長縄を引っかからずに走り抜けるという遊びをしました。1人や2人などのときは簡単でしたが部員の半数で走るときや部員全員で走り抜けるときに引っかかることがあり難しかったです。
皆で協力して取り組み、さらに絆を深めることができました。相手を思いやる心やコミュニケーションを取ることの大切さを改めて理解を深めることができました。








夕方は各グループで火を熾してご飯を作りました。私達のグループはチャーハンとお味噌汁を作ることになりました。まず初めに火起こしを行いましたがなかなか火がつかなくて苦戦しました。風が強くてつかなかったり、点火したと思ったらすぐ消えてしまうことが多々ありましたが薪をナイフで細くし燃えやすいように加工し無事火を作ることができました。最初火を熾すのは簡単だと思っていましたが、やってみないと分からないんだなと思わされました。火を熾すときのコツや工夫が身につき皆で協力することの大切さも気づき学びになりました。
またごはん作りにも苦戦しました。野菜に火が通ってなかったり、味が決まらなくて皆で味見したりして、最後は美味しいチャーハンとお味噌汁を作ることができました。苦労して作ったご飯は格別でした。改めて日々美味しいご飯を食べられる環境、作ってくれる父、母に感謝しないといけないと思いました。
しかし、2日目の昼食で無理やり食材を消費しようとしてしまって大量に調理してしまった結果、すべて食べ切ることができずに白ご飯8合程度の食品ロスを出してしまいました。
原因として、食材を使い切るということを意識しすぎて自らが食べ切れるか否かを考えられていなかったこと、各々調理するグループ間でどの食材をどの程度使うかを共有できていなかったことが挙げられます。実はアウトドア部のキャンプ(特に、イベントに出展した際には)自分たちで調理をすることがないため(イベント開催時には様々な出展等もあり、食事はそこで賄うことがほとんど)、また、作るとしても少ない人数分のため、失敗することがありませんが、今回のキャンプでの貴重な失敗を次の機会に活かせるようにしたいです。






皆でご飯を食べたあと片付けを手分けして行いましたが、想定した以上に時間が掛かってしまいました。20:00からTAKIBIベースを予約していたのですが、片付けが全て終わることには、20:40近くになってしまいました。晩御飯を作り始めてから、実に4時間半以上も経過してしまい、もっと効率よくできると思いました。これを糧にして次のキャンプはスムーズにできるように、全体を見て行動できるようにしたいと思いました。
片付け清掃をしたあと、焚き火トーク一年間の振り返りをしました。この一年間とても大変でしたが、今までで1番楽しい1年でした。僕達がキャンプに行けるのも全部顧問の高橋先生や両親のおかげです。日々この幸せを噛み締めながら生きていこうと思います。
最後は皆で暖かい焚火に癒やされながら美しい星を見て1日目が終了しました。
2日目は朝の厳しい寒さによって目が覚めました。朝食と簡単な片付け、レンタル品の返却だけ済ませたら、アウルアドベンチャーというアスレチックをしました。アスレチックでは2m、4m、6m、8mとコースが分かれていて6mが一番難しいと係の方が言っていました。2mでは初歩的なアスレチックの物が多かったのですがものすごく楽しかったです。4mでは2mよりも一本道のアスレチックが多く足を滑らせないかのドキドキ感を味わえました。6mでは高さは8mほど高くないですが、難易度が一番高いため身体能力に自身のある方におすすめです。8mではアスレチックのレベルはそこまで高くないですが地面からかなり高いため恐怖をかなり感じました。高いところが苦手な部員もいましたが、1つクリアするごとに、1つ上へ、1つ上へ、と進んでいき、全員が全てのコースをクリアすることができました。



アウルアドベンチャーが終わったらテントを撤収しました。撤収では設営よりも時間がかからずにできました。撤収が終わったらスカイアークという施設に行き来年の部長などの幹部発表がありました。発表では意外な人などが選ばれ盛り上がりました。
これでついに楽しい時間も終了し学校へ帰り、部活の用具を戻し今回のキャンプが終了しました。
〈顧問より〉
このキャンプを経て、特に2年間活動してきた2年生の力には本当に驚かされました。普段はイベントにしてもキャンプにしても、小規模での行動が多いので、こうした全部員が一堂に会するキャンプは、4月以来したことがない中で、2年生がどのように行動するか注目でしたが、その心配は全くないほど、安心してみていられるものでした。これも、日々の活動、そして外部で活動する多くの皆様方からのご指導の賜物と考えております。いよいよ、2年生もあと1ヶ月半で仮引退となり、大学受験生活が始まります。1年生は進級し、部を支える中核として活動します。アウトドア部では、「自分自身が動く」ことが第一です。この1年間で、もっと成長できる。そう信じて、今後も様々な現場で活動にあたります。引き続き、武蔵越生高等学校アウトドア部をよろしくお願い申し上げます。
顧問 髙橋皓正