JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告 - 卒業編 –

JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告 - 卒業編 –

高校教諭でアウトドア部顧問をしているJACオートキャンプ指導者からアウトドア部の活動の様子を報告いただいた。卒業式も終わり、アウトドア部ではまた1つの世代が旅立とうとしている。そんな3年生に、思いの丈を綴ってもらった。

私が顧問を務めているアウトドア部では、現在高校1年生16名、高校2年生18名の計34名で活動している。5月GW明けをもって3年生3名は受験のため一旦部活を離れ、新体制での活動となった。1,2年生34名という、部活動の体制としても未知の領域である人数での活動になり、顧問としても新たな挑戦の年となった。
11人が入部して始まった2022年4月。でも、2022年の年末に2人減り、春先に3人減り…といって、とうとう4人で迎えた卒業。たった4人の卒業生になってしまいましたが、後輩たちは34名もいます。あまりかかわりがなかった1年生、1年間の活動を共にしてきた2年生、たくさんの後輩が入ってきて、「面倒見切れない!」と言われたのをよく覚えています。それでもなんとか頑張ってやってきてくれたのは、本当に感謝しています。
社会に出ると、やりたくないことだったり、面倒なことだったり、自分の思ったことと違う、ということはたくさんあると思います。卒業していく皆さんは、「社会人としてどうありたいか」というマインドは1つでも持っておいてください。
上司から言われたことを黙ってこなすことだけが仕事ではありません(※時にはそういうことも必要です)。文句も意見も、顧問にはたくさん言えたかもしれませんが、その「発信力」は、大切な能力です。人の話を聞く(傾聴力)、意見の違いや立場の違いを理解する(柔軟性)、社会に出た時に求められる力は、高校・大学生時代に培った力が基盤になります。


卒業おめでとう、キャンプ場でまた会おう

武蔵越生高等学校 アウトドア部
顧問 髙橋皓正(公認オートキャンプインストラクター)
部長 中村蓮音
副部長 堀口大喜 石若和裕

3年生元部長 田口凌太

 武蔵越生高等学校アウトドア部では登山やキャンプなどをする他、ボランティア活動、アウトドアのイベントに参加するなどの活動をしています。私がアウトドア部に所属していた3年間でどのような経験をしてきたのかを記事に書かせていただきました。
最初にアウトドア部を知ったのは1年生の部活動紹介を見たときです。アウトドア部というあまり見慣れない部活であり、興味を持ち体験入部をしました。当時のアウトドア部は通常の活動でランニングなどのトレーニングなどをしており、登山やキャンプなどをメインに活動しており、アウトドアのイベントに参加するのはあまりありませんでしたが、キャンプではレポートなどを作成し、文章力が身に付ける事ができ、初めての登山で先輩と協力し共に頂上へ登り、チームワークが高まり仲間の大切さを実感しました。
 本格的にアウトドアのイベントに参加するようになったのは2年生のときでした。私が部長となり部員の人数が増えた頃、アウトドア部のことを広く知ってもらおうと、SNSを使い始め、活動の規模も大きくしました。そして段々とアウトドア部がただの「部活」ではなく「企業」のような組織力のある部活動になっていきました。アウトドアのイベントでは自分たちの出展をすることが多く、「ただ自分たちが楽しむ」だけでなく、「どのようなものを出せばイベントに訪れた人は喜んでくれるか」という観点で企画を立案・実行することは、高校の部活動ではそう多くはできないことですが、こうした貴重な経験に恵まれました。
 アウトドア部では高校生では経験ができないことばかりでした。この経験を大学や社会人となっても活かしたいと思います。3年間充実した部活動をありがとうございました。


3年生元副部長 萩原優矢

 この3年間、アウトドア部の活動の中で先生や先輩方から様々な事を学びました。主に「責任を持つこと」「常に先を見て、率先して行動すること」「コミュニケーション能力」です。私は福祉系の大学に進学が決まっているのですが、特にコミュニケーション能力に関しては日常生活はもちろんのこと、アウトドア部のイベントやボランティア活動などで保護者の対応や、円滑なイベント進行などに役立ちました。また私はボランティア活動で子供たちのお世話などをよく行っていたので、その子供たちと仲良くなるのにとても助かりました。今思えば、1年生の頃、ここまで精神的に成長できるとは思ってもいませんでした。
 最初はただ聞いた事のない部活ということで興味を持ち、特に入りたい部活もないからという理由で入りました。正直、初めはそんなにやる気はなかったと思います。そんな私を変えたのは、1年生の頃に任された毎年7月の1学期終業式にやる、夏の花火大会の運営を任されたときでした。
 当時そういう経験が初めてだったので先輩方に沢山協力してもらいながら、当時いた1年生のみんなで案を出し合いました。このイベント運営を通して自分たちで企画し成功させる達成感や、人に楽しんでもらえたという喜びを知ったことがきっかけで、ここまで活動を続けてきました。これからも学んだことを思い出しながら、大学生活で最大限活かしていきたいと思います。また、私たちの書いた拙い文章の記事をこれまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。


3年生元副部長 阿部真奈

 私は、この3年間で、登山、キャンプ、スノーボードなど、たくさんの経験をすることができました。きっと、卒業する3年生の中でも、「経験」の数では一番かもしれません。
 先輩方や先生たちに教えてもらいながら、部活のメンバーと協力し合ってテントを立てたり、自分たちで自ら計画を立てて料理を作ったり、学年関係なくみんなで「一つのものを作る事ができること」がこの部活の魅力です。
 この3年間のアウトドア部で、高尾山に登山をしたり、能登島や勝浦、極寒の年末には赤城山のキャンプ場に行ったりしました。どれもいい思い出です。活動はその都度、オートキャンプ協会でメールマガジンとして記事を書かせていただき、テレビ埼玉「アオハル」に出演などして、メディアを使って、様々な人と交流をしてきました。高校時代に、こんな経験ができるとは思ってもいませんでした。
 懐かしい思い出の1つは、1年生の冬に登った高尾山への初詣登山です。神奈川県の陣場高原下から、約23kmを真夜中に踏破して、日の出の時刻に高尾山頂を目指すナイトハイクでした。なんとか頂上に行くことができましたが、頂上の門が閉まるギリギリの時間に間に合わず、初日の出を見ることができず、残念な結果となってしまいました。ですが、たまたま帰り際にロープウェイ近くのお茶屋さんに運良く入ることができ、お店の中で、みんなで初日の出を見ながらお団子をとても美味しく食べた経験は忘れもしない思い出です。
 人生で初めて挑戦したスノーボードでは、とても緊張して最初は滑れませんでしたが、少しずつ慣れてきて、最後はちゃんと滑ることができたのでとても嬉しかったです。
 私にとってアウトドア部では、かけがえのない仲間と素晴らしい先生、たくさんのキャンパーの皆様に恵まれ、一生物の経験ができ、たくさんの思い出に包まれて卒業を迎えることができました。卒業をしても忘れることなく今後の人生に活かしていきたいと思います。


アウトドア部部員 相場隆之介

 2022年4月23日、24日の2日間で行われた新歓キャンプでは不安を多く抱えたキャンプでした。もともとキャンプをしたことは当然なく、さらには入学してそうそうに行われていたためほとんどの人と関わったことがなかったためかなりの不安を抱えていました。しかし、いざキャンプが始まってみると学年問わず全員が協力してキャンプを造りあげ、食事の際には仲良く夕食を食べている姿が印象的でした。他の部活とは異なった形での新歓を迎えそれまで抱えていた不安はすっかりなくなり、これからアウトドア部で経験できる何もかもが楽しみとなった瞬間だと思います。
 2023年8月10日、11日に行われた谷川岳登山は自分史上最高峰への挑戦でした。自分は年末年始に陣馬山~高尾山へのナイトハイクを行いましたが、今回の登山では谷川岳「トマの耳」付近にある山小屋・肩ノ小屋に宿泊し、翌日の朝に「トマの耳」にて日の出を見ると言った内容の登山でした。谷川岳は大変険しい道のりが続いており、山頂に近づくにつれて暴風が吹き荒れ、雷が鳴るなど、とても日の出が見られる天候ではなかったです。そういった不安を抱えながら翌日を迎え、最初の頂上、トマの耳では天候はあまり回復しなかったものの、さらに標高が高いオキの耳では、雲が一気に抜け、晴天の景色を見ることができました。この光景は、一生忘れることのない景色になりました。
 約2年の部活での活動を通じて何事にもまずは挑戦することの大切さを知り、仲間と協力して一つのことを成し遂げるスキルを身につけられました。


アウトドア部は卒業してしまいますが、皆さんはこれから、アウトドア部OBOG会に入会となります。その時にはまた、キャンプ場で会いましょう。3年間ありがとう。
顧問 髙橋皓正(公認オートキャンプインストラクター)