JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告

JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告

高校教諭でアウトドア部顧問をしているJACオートキャンプ指導者からコロナ禍のアウトドア部の活動の様子を報告いただいた。今回は、昨年に引き続き、ライジングフィールド軽井沢様へ訪問した。1年生がメインで活動する初めてのキャンプであり、1年生が本格的に、キャンプの準備や設営、片付けといった一通りのことを経験することになる。今回は、これから部活動の中心として牽引していく1年生が、どのようにして「目標」を持ち、それを達成するためにどのようなことが必要なのかを考えた。

私が顧問を務めているアウトドア部では、現在高校1年生9名、高校2年生18名の計27名で活動している。アウトドア部の活動の幅は広がり、アウトドアは単なる遊びだけではなく、内面的にも大きく成長できるチャンスであるということを実感するようになりました。
今回は、昨年に引き続き、ライジングフィールド軽井沢様へ訪問した。チームビルディングプログラムやアウルアドベンチャーといったアクティビティを通して、アウトドアを通じて「何を学ぶのか」。そして「どのような力をつけてほしいのか」を、顧問としても考える機会となった。アウトドア部には、県大会や全国大会といった大会で勝つ、といった目標はない。つまり、日頃の活動におけるモチベーションは維持しにくい。そんな中で、アウトドア部の活動に、どのように目標を持つか、今回の活動を通して学んでくれたことと思う。そして、目標を達成する粘り強さは、いつか自分が本当に達成したい!と思える目標を見出した時に、今回の経験を思い出してくれたら幸いである。
今回は、ライジングフィールド軽井沢の島矢泰我様に、活動全般のコーディネートをしていただきました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。


目標を決めること、努力すること。

武蔵越生高等学校 アウトドア部
顧問 坂本皓正(公認オートキャンプインストラクター)
部長 高等学校1年1組 今村美月

〈準備・設営編〉

前回、キャンプを行った2年生の先輩の引継ぎで、まずは荷物の準備やリストを作るところから始めました。準備が重要であることを特に聞いていたので、全員で協力して、滞りなく準備を行い、今回は活動全般を通して、不足するものはありませんでした。
ただ、今回は11月という季節的なこともあり、坂本先生に聞いたり、調べたりしながら、冬キャンプ用の準備を行い、普段よりもしっかり防寒対策を行いました。テントを設営する時も、テントの立てる場所をしっかり考えました。1年生が設営は慣れないこともあり大変でしたが、準備と片付けで時間を手早く行うことができました。だんだんとモノが増えてきたこともあって、作ったサイトは、今までで一番”ベース感”のあるテントサイトになりました。

 

いくら防寒対策をしたとは言っても、さすがは軽井沢と言うべき寒さでした。男子メンバーで薪割りと火熾し、女子メンバーで食事の準備を行いました。この日の晩御飯はダッジオーブンで鶏塩鍋をしました。同じ1年生でも、部活ではあまり喋ったことがない人と喋る機会があったり、先輩ともゆっくり話す機会は少なかったので、焚火の火で暖まりながら、アウトドア部のメンバーと、楽しく軽井沢の夜の時間を過ごせました。ご飯を食べ終わったあとは少し片付けて、22時に消灯の時間なので寝る準備を始めました。寝る前に外を見上げると、軽井沢の冬は気温も低く、空気も凍てつくほど冷たく澄んでいるので、満天の星空を望むことができました。

<チームビルディングプログラム>

今回は、チームビルディングプログラムを行いました。チームビルディングとは、メンバー1人1人のスキルや経験を最大限に活かし、目標を達成できるチームを作り上げる取り組みです。説明の中で「チームとは何か」についても説明してもらいました。チームとは、「協力しあい物事を進めていく団体」のことで、企画してもらっていたゲームを六人で協力して達成していくという目標で行いました。それぞれ二つの動きを考えて全員でその動きを同じように行うという方法でした。この方法で体操をするのは初めてで準備運動からとても盛り上がりました。

一つ目のゲームはペンを使ったゲームで、両手を合わせて合掌の状態ではさみます。そこからペンを動かさずに手のひらが水平になるようにするゲームした。でも、「どこがチームビルディング?」と思いましたが、できた人が次々にみんなに教える「学び合い(協同的な学び)」であることに気付きました。いくら自分ができても、「それを他の人も全く同じように再現できるように教える」というのは、本当に難しかったです。

二つ目のゲームは、2人1組に分かれ、1人は目をつぶって、もう1人は誘導するというゲームでした。このゲームは誘導する人の役割が重要で、きちんと指示をしないと、指示を受ける人が上手く動けないゲームでした。特に、手を掴んでくれている間は良かったですが、それをいきなり離すと、自分の居場所や周囲の状況も全く分からなくなるので、指示を出す側が、いかに相手が理解しやすいように伝えるかを試されるチームプレーが要求されました。

三つ目のゲームは、フラフープを使ったゲームで、6人全員で手を繋いで輪になりフラフープを体にくぐらせながら一周させてそのタイムを測るゲームをしました。このゲームでは人の場所を入れ替えたり、タイミングを合わせたり、自分たちで決めた目標時間を、どのようにしてクリアしていくか、いよいよ6人が”チーム”となって互いに考えを出し合いながら、徐々にタイムを縮めていきましたが、最後の最後で決めた目標を達成することはできず、悔しい思いをしました。

四つ目のゲームは、ワイヤーを渡っていってゴールまでたどり着くというゲームをしました。ワイヤーの中間地点は非常にバランスも悪く、どのような順番で?誰がどのような役割を持って?など、様々なことを考えながら、挑戦をしました。1本目、2本目、と順調に行きましたが、このワイヤーはどんどん長くなっていき、2本目までは順調にクリアできることがわかりましたが、3本目はどうやってもクリアできず……。残念ながらこのゲームも、目標達成には届きませんでした。

ちなみにちょっとだけ面白かったのは、全員が気合を入れる時、なぜか「ジャケットを脱ぐ」という行動で示していました(笑) この日の気温は6℃で寒かったですが、全員が目標に向けて団結するという気持ちを行動で表す象徴になっていたと思います!

4つのゲームを通して、グループではなく”チーム”として何かの目標に挑戦する時、いかに自分たちが同じ目標に向かって全員で努力できるかが重要かを再認識しました。これはグループ活動ではなかなか養われず、「明確にこれを達成したい!」という気持ちを全員持たなければ、達成することはできません。4つのゲームでは、目標を達成できなかったものもあります。大切なことは、達成できなかった時に、「なぜ達成できなかったか(=自分たちの良くなかったところ)」を考えることよりも「その状況でも自分たちの良かったところ」と、「成功させるためには何が必要だったか(=次へ向けての視点)」を考えることで、日常生活の様々な場面で活かせると思いました。

アウルアドベンチャー

チームビルディングプログラムが終わって、昼食をとり午後からアウルアドベンチャーを行いました。しかしここでまさかの雨!ですがそれをものともせず続行しました!高さ2m、4m、6m、8mに分かれており、まずはフィールドに慣れるために一人ずつ挑戦しました。その後は、全員で紐で繋いで離れないようにしてわたりました。離れてしまうと紐が取れてしまうので、全員の動きを合わせながら進みました。しかも時間の都合で、挑戦は1回きり!!

結果は、無事に6人で1回も紐が離れることなくアスレチックをクリアできました!チームビルディングプログラムの目標未達成の挽回もできて、最後に嬉しさでいっぱいになりました!

<まとめ>

最後には全員で掌をかたどり、真ん中に「手に入れたもの」、掌の中には「これから手に入れていきたいもの」そしてその外には、「手放したいもの」を書きました!
みんな、シャイな性格なのか、「羞恥心を捨てたい」や、「すぐ諦めること」を書いていました。手に入れたいものは、「何事にも努力する気持ち」が多かったです。まだ将来の夢やなりたい職業、自分がどうなりたいかは全く見当もつきませんが、何事にも努力する気持ちは、ずっと持っていたいと思いました。

初めての1年生メインのキャンプで、キャンプでの過ごし方、テントの設営など不安なことが多かったのですが、テントの設営などがものすごく楽しかったし、全員で目標を作り、その目標に全員が全力で協力し合う大切さを今回のキャンプで学びました。今回のキャンプで学んだことを今後の部活動や日常生活、そして2年後、進路を考えなければいけない時に、生かしたいと思います。アウトドア部の活動における目標を定めることはまだできていませんが、次の4月、新1年生が入ってくるまでに、みんなで活動を続けながら決めていきたいです。
最後に、2年の元副部長 関口陽成先輩に、準備から当日の活動、片づけに至るまで、様々な面でサポートをしていただきました。また、ライジングフィールド軽井沢の島矢泰我さんには、有意義で楽しい時間を過ごすために様々なプログラムをご用意していただきました。ありがとうございました。

文責
1年:今邨美月 伊藤舞香 阿部真奈
田口凌太 金井誠弥


報告:坂本皓正
(公認オートキャンプインストラクター)