年頭のご挨拶(会長:会長 明瀬 一裕より)

会長 明瀬一裕

明けましておめでとうございます。

日本オートキャンプ協会(JAC)は一昨年創立50周年を迎え、その半世紀にわたる活動の集大成として、第89回FICCオートキャンプ世界大会を福島県天栄村で開催しました。<観光・交流・復興>をスローガンとして掲げた大会には、14か国から約800人のキャンパーと地元住民が参加して交流の輪を広げました。しかしそれがオートキャンプの最後の国際大会になると誰が予想したでしょう。

新型コロナウィルス感染がいまなお世界中で猛威をふるう状況下では、つねに感染リスクを前提として社会活動や経済活動を行うことが求められます。オートキャンプもその例外ではありません。

自家用車で移動し、広い屋外で個人や家族単位で楽しむオートキャンプは、三密になりにくい安全で健康的なレジャーです。昨年4月に緊急事態宣言が出された際も、オートキャンプ場は営業自粛の要請対象に含まれませんでした。

JACは緊急事態宣言を受けて、キャンパーとキャンプ場を対象にコロナウィルス感染防止ガイドラインを発表しました。オートキャンプ場も感染防止策を徹底しました。オートキャンプは安全であるという認識が人々の間で広まり、オートキャンプ場の利用者は急速な勢いで回復しました。コロナ禍のストレスからの解放を求めて、あらたにキャンプ道具を買いそろえる家族も現れました。今年はオートキャンプを楽しむ人がいっそう増えることが予想されます。

近年政府は「働き方改革」を進めており、「ワーク」(労働)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた「ワーケーション」という言葉も生まれました。期せずしてコロナ禍のために時差出勤、在宅勤務、リモートワークなどが急速に普及しました。オートキャンプ場はトイレやシャワーなどの設備が整い、Wi-Fi の導入も進んでいるのでワーケーションに最適と言えます。これからは誰もが「ゆとりのある働き方」を求められますが、オートキャンプはこの時代の要請に最もよく応えるレジャーです。

1970年代に高度経済成長が終焉してオートキャンプが盛んになったことを思い起こすと、誕生から半世紀を経た日本のオートキャンプは、コロナ時代に新しい発展のステージに入るのではないかという予感がします。

今後は<三密回避レジャーとしてのオートキャンプ>という観点から、オートキャンプがより幅広い層の人々に浸透していくよう努める所存です。

一般社団法人日本オートキャンプ協会

会長 明瀬 一裕