10月18日、韓国キャンプ産業協会の主催により、全羅南道・海南(ヘナム)で「2025キャンプ産業フォーラム」が開催されました。

韓国最南端に位置する海南は、「陸の終わり、日が昇る場所」と呼ばれる自然豊かな地域で、農業と漁業が盛んです。1597年(慶長2年)の「慶長の役」で、朝鮮水軍の李舜臣(イ・スンシン)将軍が豊臣秀吉の水軍を撃破した地としても知られています。

一方で、近年高齢化や若年層の都市流出が進み、人口減少が深刻な課題となっています。海南郡は地域活性化の一環として、自然環境を活かした観光資源の整備やアウトドア活動の推進に力を入れており、「キャンプを通じた滞在人口の増加」をスローガンに掲げています。

今回のフォーラムは、こうした背景を踏まえ、「キャンピング産業とディープテックの出会い」をテーマに開催されました。パネリストとして、韓国からは韓国キャンプ産業協会のソク・ヨンジュン事務総長をはじめ、環境・エネルギー・IT分野の専門家4名が登壇。海外からは、中国国際キャンプ会議代表のリ・シューウェン氏(中国)、JAC名誉会長の明瀬一裕氏(日本)、全米RV産業協会CEOのクレイグ・カービー氏(アメリカ)が参加しました。
フォーラムで中心となったキーワードは「気候変動」「持続可能なキャンプ」「スマートキャンピング」でした。特に、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、エネルギーモニタリング、バイオ技術、新素材など、先端技術とキャンピング産業の融合による新たな可能性について、活発な議論が交わされました。

明瀬名誉会長は「気候変動と社会変化の時代における日本のキャンプ文化」(Japanese Camping Culture in the Era of Climate Change and Social Shifts)と題する講演を行いました。
米国アウトドアレジャー最新情報

米国からは全米RV産業協会(RVIA)のクレイグ・カービー氏が登壇。RV(キャンピングカー)を中心とした市場データを紹介しました。アメリカのRV文化と日本のオートキャンプ文化には顕著な相違点とともに共通点も見られます。
RVIA(全米RV産業協会)
- 正式名称:Recreation Vehicle Industry Association
- 本部:米バージニア州レストン
- 設立:1974年(前身は1950年代)
- 会員:約500社
- 世界シェア:RVの約60%を米国で生産
- 市場規模:約1,400億ドル(約21兆円)
- RVオーナー:約810万世帯
アメリカのアウトドア産業
- 市場規模:約1.2兆ドル(約180兆円)
- 雇用:500万人(全産業の約3.1%)
- GDP比:2.3%
キャンプ人口
- 2022年:5,850万世帯がアウトドア旅行、うち1,500万世帯がRV利用
- 2024年:5,250万世帯がアウトドア旅行、うち1,000万世帯がRV利用
- 子ども連れキャンパーが増加し、2024年には52%を占める。
キャンパーの世代別構成(2024年)
- Z世代(13〜28歳):27%
- ミレニアル世代(29〜44歳):34%
- 団塊ジュニア世代(45〜60歳):19%
- ベビーブーム世代(61〜79歳):16%
- 沈黙の世代(80〜97歳):4%
キャンプ場
- 総数:約27,400か所(民営12,000、公営15,000)
- 総ピッチ:約210万(RV対応170万)
設備(民営/公営)
- トイレ:98%/68%
- 予約可能:85%/42%
- ダンプステーション:62%/32%
- シャワー:92%/27%
- 売店:42%/7%
- WiFi:60%/3%
- ケーブルTV:13.9%/1.2%
