JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告〜2022年8月(2)

JACオートキャンプ指導者が顧問をする高校アウトドア部の活動を報告〜2022年8月(2)

高校教諭でアウトドア部顧問をしているJACオートキャンプ指導者からコロナ禍のアウトドア部の活動の様子を報告いただいた。今回は、4月のアウトドアデイジャパン東京に出展していた戸隠キャンプ場へ訪問した模様を、レポートとしてお届けする。

私が顧問を務めているアウトドア部では、現在高校1年生14名、高校2年生18名の計32名で活動しています。今年も多くの部員に恵まれ、これまで以上に活動の幅を広げることが可能になった。これまでは、様々なアウトドア活動を通じて体力の錬成や、シーズンスポーツの体験などで、教育的活動としてのアウトドアではありませんでした。しかし、このコロナ禍で活動をするにあたり、「衛生的に守られた、最高に楽しめる」アウトドア活動を考え、部員たちと一緒になり、実践しています。

 

今回は、戸隠キャンプ場へ訪問させていただいた。計画、準備、訪問、後片付けに至るまで、生徒が主となり運営したが、相当の苦労もあったようだ。今回は神話に縁のある歴史ある地——戸隠へのキャンプ。そして珍しく天候は雨……!? 準備段階では、あってはならない「お金」絡みの問題が発生した様子……。
アウトドア部ではもうすぐ世代交代。2年生は第一線から引いて半年間、1年生への引継ぎを行いながら、活動をしていくことになる。1年生は2年生と共に、様々なことを学びながら、今後もアウトドア部での活動を楽しみ、そして大きく成長してくれることを願ってやまない。


神域体験×自然体験 戸隠キャンプ場

武蔵越生高等学校 アウトドア部
顧問 坂本皓正(公認オートキャンプインストラクター)
部長 高等学校2年7組 稲場碧希

当日編―アウトドア部による戸隠の自然体験―

長野県長野市の北に位置し、山に囲まれたその地域は健康的な陽の目を射しながらも、冷涼な空気が流れる地域です。

初日は、戸隠キャンプ場でレンタルが可能なE-Bikeを使い、当日の穏やかな風と、セミの音も心地よく感じるような理想的な暖かさの中、戸隠牧場と鏡池、戸隠スキー場を巡りました。緑が生い茂るキャンプ場内の牧場、壮大な山が後ろのそびえ立つ鏡池、また戸隠キャンプ場の近くに位置するスキー場は夏草が繁茂した斜面となっていましたが、きっと冬になれば多くのスキーヤー、スノーボーダーで賑わうに違いないであろうくらいの絶景がそこにはありました。その他、E-Bikeで行けるところとしては、戸隠キャンプ場内の牧場や、鏡池という大きな湖を望むことができます。

昼食は、鏡池の近くのどんぐりハウスというレストランで食事をしました。山の中にあるので自然豊かなところで食事が楽しめます。

戸隠キャンプ場は大規模な区画サイトなどもありますが、バンガロー、ログキャビン、コテージなどの宿泊施設も多数完備されています。今回は、元々あまり天気予報が良くなく、直前にバンガローに変更していたため、食事をするためのタープと先生用のテントの設営のみでしたが、テントの設営に慣れたメンバーじゃなかったため、少し時間がかかりました。私たちはバンガローに泊まりましたが、普段のテント泊とはまた違う非日常感でした。

テントの片付けをする際に、雨で濡れたテントを乾かすこともできなかったので、軽く水を拭き取ってビニール袋にいれて持ち帰りました。普段と違う片付け方で手順が多くて少し苦戦しましたが、顧問の先生の指示もあり、普段と同じくらいの時間で片付け終えることができました。

準備編―なぜか合わない予算案—

《8月上旬》
今回の戸隠キャンプ場訪問では、自分たちが当日のスケジュールや予算を決めることになりました。何度かデイキャンプの計画を立てることはありましたが、今回は宿泊を伴い、部長以外は初の宿泊キャンプとなったため、夏休み中から計画に取り掛かりました。

県外のキャンプ場を利用させていただいたため、思うように行かないことも多々ありました。
まず、当日行うアクティビティを決める時には利用する施設の予約方法や利用料金の確認に時間がかかってしまいました。何度も変更し、最終的に顧問の先生に提案していただいた戸隠キャンプ場でレンタルが可能なE-Bikeと、近場の戸隠民俗館忍者からくり屋敷を利用することに決まりました。次に、施設利用料金や食費などの支出に関する予算を決めました。一人あたりの集金金額を出している際に、各項目(サイト費、食費、交通費、レンタルバイク費……)の費用を記した表を作成しましたが、予算案の手直しを繰り返し過ぎた結果、非常に見づらいものになってしまいました。このまま予算を出していたら、1人あたりの集金金額が、本来必要な金額の倍以上を集金することになってしまっていました。先生が後から計算したところ、全く合わないことが判明し、何度も見直しを行うことになってしまいました。

《8月お盆明け~前日》
温泉施設がキャンプ場から離れていることを確認していなかったため(もともと、温泉はキャンプ場内にあるものだと思っていました)、温泉に行く時のサイト内の荷物の管理に関して何も決めておらず、予定を変更せざるを得なくなりました。場所の確認と、当日の動きの想定はもっとできたと思います。
また、事前に決めていた買ってくる食材に足りないものがありました。あとから、食材が足りないことに顧問の先生が気が付き、足りない分を買ってきておいてくださいました。参考にしたレシピと異なる食材に変更する場合には、他のレシピと見比べ、さらに必要になるものがないか確認することにしなければなりませんでした。

《ふりかえり》
準備段階から、特に予算関係の失敗が大打撃を受け、ライジングフィールド白馬の時の経験を踏まえたにも関わらず、保護者宛て文書の発行は今回もかなりギリギリになってしまいました。
この中で宿泊キャンプの経験があるのは1名のみだったので、その経験を踏まえながらの話し合いでしたが、今回は特に、「宿泊キャンプにおけるお金の取り扱い方」について、貴重な勉強になりました。デイキャンプでは1回1000円、という風に決めていることがほとんどですが、宿泊のキャンプは1回行くにしても、県外宿泊キャンプであれば(高校生的な感覚だと)高額な予算を組むことになります。金銭感覚を身に付けるという意味では、今回の失敗も、今後の生活の中で活かせる失敗でした。
アウトドア部の備品管理や部費の管理は、これまでは私たち生徒にも一部任されている状態でした。この経験をきっかけに、1年生の部員が、9月から会計として部活動の備品や予算管理を行うことになりました。今回の経験は、そうしたこれからの部活動の運営にも役に立つことばかりでした。


戸隠キャンプ場は、キャンプ場だけでなく、周辺には戸隠古道とよばれる、神話に縁のある周遊コースもあります。今回、記事としては割愛させていただきましたが、本校読書部は、こちらの戸隠古道—五社巡りコースを巡りました。皆様も、戸隠という静かな空間で、神域体験×自然体験をしてみてはいかがでしょうか?

文責・参加者
稲場碧希 伊藤舞香 小野田愛凛
清野慶一郎 金井誠弥 山口玲央


報告:坂本皓正
(公認オートキャンプインストラクター)