TENT FACTORY トップインタビュー

TENT FACTORY(テントファクトリー) トップインタビュー
〜イベントを活用してユーザーとのコミュニケーションを図る〜

来年11年目を迎えるアウトドアブランド「TENT FACTORY(テントファクトリー)」の事務所を訪問、同ブランドを企画販売している株式会社アウトサム代表の谷内氏に「テントファクトリー」の成り立ちと今年2023年の市況の振り返り、来年2024年の抱負について伺った。

■インタビュー動画

インタビューテキスト要約版

Q: まずはじめにテントファクトリーさんの成り立ちについて教えていただけますか?

株式会社アウトサム代表 谷内理氏

A: もともと僕は商社で商品開発の仕事をしていたんです。キャンプ用品も手がけていましたが、会社的には家具や工具、園芸用品など、様々な分野に関わっていました。そんな中、キャンプに関わってたのは自分だけで、結局「お前、キャンプやれよ」と言われました。 当時は「キャンパーズコレクション」というブランドでやっていました。それまでの経験から、キャンプ用品には詳しかったので、その領域で事業展開していこうと考えました。

Q: 「アウトサム」という会社名の由来は何ですか?

A: 「アウト」は”out”、「サム」は”something”。「何かをアウトする(提供する)」という意味で、お客さんからの要望に応える形で商品を開発していくイメージです。最初はキャンプ以外にもいろいろ手を出していましたが、結局キャンプ用品に絞り込んでいくことにしました。

Q: 事業展開の中で方針転換があったんですね。それは具体的にどんな状況から生まれたものでしたか?

A: リーマンショックや東日本大震災の影響で、一度方針を見直すことになりました。当時は自分も含め、多くの人が困難な状況にありました。そこで再びキャンプ用品に特化することを決断し、テントファクトリーのブランドを確立していきました。

Q: キャンプ用品の提供において、中国製品に対する先入観もあるかと思いますが、どのように取り組まれていたんですか?

A: 最初は中国製品に対する不安がありましたが、当時からアウトドア商品のほとんどは中国で作られていたんです。中国製でも十分な品質を提供できると確信し、それに挑戦しました。当時は中国製品に対する先入観が強かったですが、品質に自信がある商品をよりリーズナブルに提供したいという思いから、今も変わらずに取り組んでいます。

Q: 2023年のビジネスの状況について教えていただけますか?

A: 2022年の去年までは受注も取ってたんで売上的には上がってたんですよ。
売上が上がった理由として、その前までの受注が影響していた。 でももう去年の時点でも落ちが見えてたから、今年はじゃあもう変だけど、うちの場合はもう「(生産は)なしね」ってなったんですよ。でも、去年の8月に発注してるから、まさかみんなこんなに落ちると思ってなかったんですよ、今年が。 だから結構各社みんな去年は去年並みに発注してるんですよ。

Q: 確かに予測が難しい時期でしたね。発注の増加と売上の減少のギャップがあるとおっしゃっていますが、その要因としては何が挙げられるでしょうか?

A: 今年、製品はずっと入ってきてるけど、もう多分需要は半分ぐらいしかない。去年並みに発注して半分しか売れてないから、相応に在庫が残ってるくらいの勘定なのです。

Q: 在庫の問題が大きな課題となっているようですね。コロナの影響も挙げられていますが、それについてはどうですか?

A: コロナでキャンプが注目されて買ったものの結局はキャンプに行けない、行かないっていうので、その使わなかったっていうのも一つのダブつきの原因になってるのかなという風には思います。
コロナの影響でキャンプの需要が変動している。製品が買われた後に実際に使われないまま残ってしまうという問題が発生している。
そこで使ってくれれば、また次の買い替えが出るんでしょうけど、キャンプテントを買ったものの、使えないまま2年3年経って、下手すると子供が大きくなったりとか、気づいた頃にはもうやれない。すると今度は中古市場にもどんどん流れていってるわけです。

Q: ユーザーの方はどのような状況にいると考えていますか?

A: ユーザーの方は熱量っていうのはそんなに下がってるわけじゃない。ただユーザーも結局はある程度、コロナ渦で用品を買い揃えちゃってるんで、今は、本当に足らないものしか買わない状態だと思います。
ユーザーが購買行動においても慎重になっているということです。しかし、将来的には需要が戻ってくる可能性は間違いなくある。
またキャンプしていけば、当然壊れたり、「なんかあれ欲しいな」とか何か新しいもの探してるんで、「いらない」とは誰も言わない。買いたいんだけど、まだ新しいのは使ってないのがあるからっていうことですよね。

Q: ユーザーが購買意欲を抱いているものの、まだ使っていない製品があると。それは将来的な需要の復活の可能性を示唆していますね。

今年から展開しているテントファクトリーの「OUTFIT」シリーズ

Q:キャンパーやキャンプ場とのコミュニケーション活動について教えていただけますか?

A: コミュニケーションでは、イベントが一つの要素になっています。来年からは週末に何度もイベントに参加する予定で、都市部以外の地域でも情報を集めています。地方での反応も良く、特に西日本の方からも多くのお客さんが来てくれています。

Q: イベントに出展してどのような反応がありますか?

A: 最近は地域を広げてイベントに参加しています。以前は特定のエリアに固定されていましたが、先日アウトドアデイジャパン神戸でのイベントが成功し、地元以外のお客さんからも好評でした。地域ごとにニーズが異なり、移動することで新しいお客さんにも商品を知ってもらえると感じています。

Q: 今後の展望や計画について教えていただけますか?

A: 来年は毎週イベントに参加する予定です。主要都市以外の地域にも足を運び、お客さんと直接対話することでリアルなフィードバックを得るつもりです。特にシニア層との交流も大切にしていきたいと思っています。

Q: キャンプ場との協力についても教えていただけますか?

A: 最近は地元のキャンプ場とも協力しています。地元のイベントに協力してもらったり、キャンプ場でイベントを開催したりしています。地域との交流が大切で、キャンプ場は単なる宿泊施設以上に、コミュニティの中心として機能すべきだと考えています。

Q: キャンプ場に向けてメッセージはありますか?

A: キャンプ場の方に向けて、私たちのスタイルや商品を直接見ていただける機会があれば嬉しいです。地方のイベントに参加する予定がありますが、もし来れない場合は、弊社の商品はショップの「Campoo!」さんを通じて取り扱っていただけます。是非お気軽にご相談ください。

Q:ありがとうございました。

左:アウトサム代表 谷内氏、右:JAC 堺事務局長

代表自ら語るテントファクトリー製品紹介


取材・編集:日本オートキャンプ協会 事務局編集部