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2015年(平成27年)10月15日第236号 ( ? ) 2016年のニューモデルを発表する会場で、コールマンジャパン リチャード・エル・ギルフォイル社長と日本オートキャンプ協会の明瀬一裕会長との対談が行われた。(敬称略)明瀬 来年40周年を迎えるコールマンジャパン。スタートの時代背景から、社長就任当時の目標、これからの国内のキャンプ、アジアのキャンプに話は及んだ。明瀬 コールマンジャパンは来年創立40周年、またコールマン本社が115周年ということで、会場入り口に展示されていた歴史的なコールマン製品を見ることができ、とても感激した。 コールマンの歴史をみていくと、第1次大戦の時、ランタンの品質の高さが評価され、軍隊が7万台のランタンを購入し、第2次世界大戦の時はGIストーブを100万台軍隊に納入したが、こうした高い技術と性能が評価され米軍の御用達となったことがその原点となっているのではないか。ギルフォイル 米軍での高い評価も大きかったが、もう一つの転機が戦後にあった。戦争が終わった50年代、家族に少しゆとりの時間が出た時に、車を買い、家族で外に出かけようという動きがコールマンにとってもう一つの重要なポイントとなった。その時に燃料器具だけでなく、クーラーボックスやテントなどが発売され、ファミリー向け製品の会社に変わった。その当時の50年代の製品カタログを見ると、時代背景なども取り入れており、今見ていても楽しい。コールマンジャパンの社員の中にはそうしたカタログを今でも大事に持っている人がいる。COC(コールマンアウトドアクラブ)のミーティングに来て頂けるとわかるが、多くのファンが昔の製品を使ったキャンプを楽しんでいる。こういう人達があってのコールマンブランドでありそういう意味でCOCは非常に大事なネットワークだと思う。明瀬 コールマンジャパンは1976年創業ですが、76年という年は、日本では奇跡的な高度成長を迎えた60年代の後、70年代に入ると2度のオイルショックにニクソンショック、スミソニアン合意などにより国内の経済は一気に減速した時代。そうした景気の減速はオートキャンプにとってプラスだった。仕事は少なくなることで残業が減り、それまでの仕事一辺倒だった考え方から、家族との時間を大切にしようという考え方に変わった時代でもある。 今思うと、その70年代後半に国内のオートキャンプはようやく普及し始めた。そのただ中の1976年に日本に進出したというのは、国内の市場調査を重ねた結果だったのではないか。ギルフォイル あまりそうしたことは聞いたことはないが、限られた商品で高級路線としてスタートした。アウトドアがファッションだった90年代明瀬 国内では90年代にオートキャンプブームというピークを迎え、その後、キャンプ人口としては右肩下がりに下がって行くが、「オートキャンプ白書」によると、最低700万人を保ち、最近では上昇傾向となっている。国内は少子高齢化が進み、どのレジャーも人口を減らしている中、オートキャンプだけは増えている。こうした状況をどう考えているか。ギルフォイル 90年代は、「アウトドア」が一つのファッションとなっていた時代だと思う。バブルがはじけた2000年にコールマンジャパンの社長に就任した。その際、ブランドの戦略から流通まで全てを0から見直した。 その当時、キャンプをしている人の比率は、14~55歳の間の6%位だったが、キャンプをやってみたいという人は多かった。ではなぜ行かないのか、と聞いた時にお金がない、時間がない、友人がいないなどマイナス要因ばかりが出てきた。それを聞いた時考えた選択肢は2つしかなかった。その場で会社をたたむか、キャンプ以外のものにも挑戦していくか、という2つしかなかった。 その後全体の5%がキャンプ以外の製品となり当時でも半分近くが日本企画の商品だったが、会社の中がキャンプ一色だった時に社員に話したのは、5年以内に売り上げの4割をキャンプ以外の商品にしないとこの会社はダメになる。それに向かって行こうと。「社長それは無理だよ」って言った社員は一年以内に辞めてもらった(笑)。 その目標は5年では到達出来なかったが、7年でそれを達成し、今は全体の55%がキャンプ以外の製品になっている。明瀬 キャンプ以外の代表的な製品はギルフォイル バーベキューとビーチ製品がその代表。中でもバーベキューは、簡単なバーベキューをアウトドアの楽しみの一つとして紹介したことが広がった一つの要因だと思う。 日本の人口を考えると人口に対するキャンプ経験人口が少なすぎると考えている。そこで私達は3年前から「アウトドアリゾート」イベントを開催している。アウトドアへ行こう、というではなく、リゾートに行こうというコンセプトのイベントで東京・六本木のミッドタウンや神宮前や関西などで多くの人が訪れる場所でイベントを開催し、5万人が訪れた。 こうしたイベントに人が集まるというのは、まだ外で遊ぶ方法を知らない人が沢山いるということだと見ている。逆に言えばまだまだブランドの広がる余地があるということだと考えている。 数年前からは、女性のデザイナーやスタッフを入れて、今までには考えられない女性や子どもを意識した製品作りを心がけている。これまではファミリーキャンプと言っていながら、ファミリーのイメージというより男臭いものが圧倒的だったが、女性のスタッフやデザインナーを入れることでこれまでの男性中心の流れを大きく変えることができた。明瀬 逆にデザインが良いと思ったらコールマンだったということも起きているのでは。ギルフォイル 実際にそういうこともあるから女性を入れたことは正解だったと思う。新しい提案として、来シーズン向けに様々な提案のある製品を発売していく。その一つが、一台で2つのテーブルトップのデザインが楽しめる製品。テーブルに機能だけでなく、デザインを替えられるので楽しさをアピールできる遊び心のある画期的な製品だと思う。もう一つは、新しい携帯用小型扇風機で、夏の暑い時に使うものだが、電池の漏電を防ぐ「バッテリーロック」というシステムを採用し電池を長持ちさせることが出来る。明瀬 遊び心はオートキャンプのエッセンスだ。見て楽しみ、使って楽しみ、まさに5感で楽しむ道具だ。ギルフォイル 私もそう考えている。ノーススターの新しいランタンが登場するが、燃料の新ランタンは十数年ぶり。女性のセンスが活かされたものになっている。(次面に続く)2016年のニューモデルのイスに座るギルフォイル社長(左)と明瀬会長(右)コールマンジャパン ギルフォイル社長とJAC明瀬会長対談ライフスタイルを提案し続けるブランドとして